薬剤師に必要な目配り・気配り・心配り(後編) 「MR×薬剤師×経営者」のコラム

この記事を書いた人

加納裕介(かのうゆうすけ)

株式会社ケイファーマ 代表取締役
MRファーマシスト 運営代表
薬剤師

「MR×薬剤師×経営者」現役薬剤師の『好流 伸(すきる のばす)』です

11月も終わりに近づき、地域によっては紅葉が綺麗な時期となりました。
私も先日、薬局から車を1時間ほど走らせ、地域では紅葉で有名なお寺に行ってきました。普段は静かなお寺でもこのシーズンは観光客であふれており、臨時駐車場もできています。

さぞかし普段は無料な駐車場でも、駐車料金をとられるのだろうな~(関西人なので・・笑)と思いました

しかし、丁寧な駐車案内をしてくれた上、駐車はいつも通り無料だったのです!

商売っ気がないと言えばそうかもしれませんが、単純な私としてはいい意味で裏切られて、来年もまた風情のあるこの地域に来たいなぁと思いました(拝観料や出店の売上でまかなっているのでしょう)

これは最近、私の心に響いた『心配り』のエピソードのひとつです(笑)

さていつもの如く前置きが長くなりましたが、今回は前回の続きの心配りについて紹介したいと思います。
(目配り・気配り編はこちら→https://pharmacista.jp/contents/skillup/management_info/190/

心配り
出会った時に目配り、気配りができても、できなくても、その後に、上手に相手の気持ちを心地よくしてくれたり、気分を高めてくれる行動ができること


友人の薬剤師さんがこんな素敵な出来事を教えてくれました。

土曜日の営業時間もすっかりすぎて残務処理をしていた最中、『ズファジラン錠』の処方箋を持った妊婦さんが来局しました。
患者さんはどこにでもあるからとDrに聞いていた事もあり、家の近くでもらおうと思っていたとの事です。しかし薬局に在庫がなく、もちろん卸も休み・・近所の薬局も休み・・・

『申し訳ありませんが月曜日なら…』
と答えたところ、うちに来るまでに4件行ったけど同じ答えだったので
『じゃぁ、月曜日で大丈夫です』
と答えて帰られようとされました。

そんなやり取りを見ていたスタッフの1人が
『本当にどうにもならないんですか?あの患者さんは月曜日まで不安な思いをしなければならないんですか?急ぎで欲しい薬なんじゃないんですか?何とかしてあげられないんですか?』
と言ってくれたとのことです。

そこで薬剤師さんはハッとさせられ
『入手出来ないかもしれないけど何とか今日お渡し出来るようにします!!!』
と対応したところ何度も何度もその患者さんは

『ありがとうございます、本当に助かります』
と涙を流して喜ばれたそうです

当然の事ながら調達するのは大変でしたが何とかその日に10錠だけ入手する事ができ、配達に上がったところ

『2人目の妊娠なんですが、実は1人目の時に切迫早産でICUに入ったりもしたのでとてもナーバスになっていて・・・ほんと不安だったんですが病院の近くの薬局まで戻れない体調だったし、土曜日という事もあるのでどうしようもないかとあきらめてたところ、何とかしますと言ってもらえたのでつい感極まってしまって…』
とおっしゃっていました。

その時に感じた薬剤師さんの心の声です。(そのままの声を載せます)

 『薬局で働き始めて10年以上経ちますが、こんなに役に立てたと思える事はなかったのはどこか自分の都合ばかりで、人のためにどんなことをしても何とかしようという思いがなかったからだと思います。めちゃくちゃ話は長くなったけど心に残る素敵な出来事でした。』

いかがでしょう? 先生方はどのように感じるでしょうか??

この薬剤師さんは普段からも気さくで、多くの患者さん、スタッフからも人望のある人です。そのような人があらためて感じたエピソードを紹介させて頂きました。

このようなケースはまれだとは思いますが、薬剤師として、お困りの患者さんのためにどのような行動ができるかを考えさせてくれるお話だと思います。

そしてこれは、その現場において最大限の『心配り』が実践できた例かと思います
今回の結果、実は薬剤師さん自身が一番、心が満たされたのかもしれません。

患者さんのことを考えての心配り・・・

それは結果的に、自分の心も豊かにしてくれる行動となっていくようです。

是非、薬剤師として一つでも多い心配りを体験していきましょう(^O^)/

今回は患者さん向けでしたが、管理者としては薬局スタッフに対しても同様な気持ちが重要です。

この『目配り・気配り・心配り』は人と人とを結びつける素敵な潤滑油となってくれるのです。

 好流 伸(すきる のばす) :lol: 
大阪薬科大学卒業後、大手製薬会社に就職。・・・現在は開局薬剤師として、地域医療の為に邁進中!!
好琉さんのことをもっと知りたければこちらをチェック!!
対談前編 https://pharmacista.jp/contents/skillup/management_info/35/
対談後編 https://pharmacista.jp/contents/skillup/management_info/78/

この記事を書いた人

加納裕介(かのうゆうすけ)

株式会社ケイファーマ 代表取締役
MRファーマシスト 運営代表
薬剤師

30歳で製薬会社のMRを辞め、2015年4月より念願の経営者として薬局運営を始める。
薬局経営とともに、『MRファーマシスト』(MR経験を持つ薬剤師を意味する)を提唱しWEBサイトやSNSを駆使したゲンバ目線の情報発信は注目を集め【ミクス】・【デキル管理薬剤師ラボ】で連載も持つ。
2016年からは本気で薬局を開局したい人を対象に『独立開局成功塾』を東京・大阪の2拠点で開催しており、夢を持つ若手薬剤師に独自の経営ノウハウを惜しみなく提供している。

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