油脂性基剤(アンヒバ・アルピニー)の坐薬に脂溶性薬物(ダイアップ・ナウゼリン)が取りこまれる仕組み

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

こんにちは。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」編集長の伊川勇樹です。


患者さん

アルピニー坐剤アンヒバ坐剤)と吐き気どめのナウゼリン坐剤の間隔はどれくらいあけたらいいですか?

 


薬剤師

アルピニー坐剤アンヒバ坐剤)と熱性けいれんで使用するダイアップ坐剤の順番はどうだったかな・・。投与間隔は?どちらが先だっけ?

このように突然小児科の処方を受け、ドキッとされた経験がある薬剤師もいるのではないでしょうか。

アルピニー坐剤アンヒバ坐剤などの油脂性基剤の坐薬と、ダイアップ坐剤ナウゼリン坐剤などの脂溶性薬剤の坐薬の使う順番を間違うと大きく効果に差がでてくるので注意が必要です。

アルピニー(アンヒバ)坐剤と、脂溶性薬剤のダイアップ坐剤やナウゼリン坐剤を併用する際の順番や間隔について説明していきます。

油脂性基剤と脂溶性薬剤の坐薬を使う順番・間隔

アンヒバやアルピニーなどの油脂性基剤の坐薬と、ダイアップやナウゼリンなどの脂溶性薬剤の坐薬を併用する場合、先に脂溶性薬剤(ダイアップやナウゼリン)を使用し、30分以上あけてアンヒバやアルピニーを使用することとなっています。

では、なぜダイアップやナウゼリンなどの脂溶性薬剤を先に使用する必要があるのでしょうか??

その理由を説明していきたいと思います。

油脂性基剤に脂溶性薬剤が取り込まれる理由・仕組み

油脂性基剤(アンヒバ・アルピニー)に脂溶性薬物(ダイアップ・ナウゼリン)が取りこまれる仕組み  

アンヒバやアルピニーなどの油脂性基剤の坐薬を挿入すると、基剤中のアセトアミノフェンが拡散し、油脂性基剤が直腸内に残った状態となります。

その後、ダイアップやナウゼリンなどの脂溶性薬剤を使用すると、直腸内に残った油脂性基剤の中にダイアップやナウゼリンの脂溶性薬剤が取りこまれてしまいます

そのため、ダイアップやナウゼリンの効果が減弱してしまうのです。

アンヒバを先に挿入した後、ダイアップを挿入した場合、ダイアップのCmaxが単独投与時の約半分になるというデータもでています。

アンヒバやアルピニーと、脂溶性薬物であるダイアップやナウゼリンを併用する際は、アンヒバやアルピニーは30分以上あけて挿入する必要性はこの図からも理解できたのではないでしょうか。

現場で坐薬の併用処方に遭遇した場合は是非、上記の図を思い出して服薬支援に活かせていただければと思います。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

薬局薬剤師としては、新規開業、継承に携わった経験、管理薬剤師としての経験を活かし、現在福岡県内でティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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