夏に小児に見られる代表的な皮膚疾患が「とびひ」です。
とびひの正式名称は伝染性膿痂疹(読み方:でんせんせいのうかしん)です。
患部をさわった手で、体のあちこちを触ったり掻いたりすることで、患部が広がっていきます。
火の粉が飛び散って火事が広がるといった「飛び火」にたとえられています。
とびひについて薬局でも親御さんから相談を受けるケースがあるかもしれません。
とびひの症状や治療薬、質問を受けやすい内容についてまとめました。
とびひは大きく下記の2つに分類されます。
水疱性膿痂疹では最初に水疱ができ痒みを伴う。
水疱は、破れてただれになる。
水疱が破れ、中身を触った手で、体の別の部位を触ることで、体のあちこちに広がる。
特に鼻のまわりに細菌が多く常在しているので鼻のまわりから始まることが多い。
高温多湿となる夏に多く、乳幼児に多くみられる。
特に保育園や幼稚園での集団発生が多い。
子供の「とびひ」の大部分は水疱性膿痂疹である。
かさぶたができる痂皮性膿痂疹では、赤みからはじまり膿疱へ。
のどの痛みや発熱、リンパ節の腫れを伴うこともあり、子供だけでなく大人でも起こりうる。
抗生物質の塗り薬と飲み薬が処方されます。
軽度の場合は外用薬のみ処方のケースもあり。
ゲンタマイシン(商品名:ゲンタシン)は黄色ブドウ球菌への感受性が低いことからとびひに処方されるケースは減ってきています。
代表的な抗菌薬【外用薬】
フシジン酸ナトリウム
商品名:フシジンレオ軟膏
テトラサイクリン塩酸塩
商品名:アクロマイシン軟膏
オキシテトラサイクリン塩酸塩
商品名:テラマイシン軟膏
ナジフロキサシン
商品名:アクアチム軟膏・クリーム
代表的な抗菌薬【内服薬】
セフェム系
セファクロル
商品名:ケフラール細粒
セフジニル
商品名:セフゾン細粒
ペネム系
ファロペネムナトリウム
商品名:ファロムドライシロップ
3〜4日内服しても効果がない場合はメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)を疑う。
ホスホマイシンやミノマイシン(8際未満の歯牙形成期には歯の着色のため通常は使用しない)が処方されるケースあり。
かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服も使われる。
炎症を抑えたり患部を保護する目的で亜鉛華軟膏が処方されるケースもあり。
炎症やかゆみがひどい場合はステロイド外用剤も処方されるケースがある。
ペニシリン系抗生物質、セフェム系、ペネム系の抗菌薬。腎炎予防のため通常は10〜14日の投与。
お風呂の水で家族にうつりませんか?
プールの水や、お風呂のお湯を介してうつることはありませんが、
接触によってうつる可能性がありますので、兄弟で一緒にお風呂に入るのは避けてください。
また入浴は症状が軽度であれば問題ないですが、範囲が広い場合や、ジュクジュクしている場合は、シャワー浴がよいでしょう。泡立てた石鹸で洗い流し、清潔にすることで菌の量も減らすことができます。
また日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会の見解でプールや水泳は禁止とされています。
症状の悪化や他人へ感染させる可能性もあるため、とびひが完全に治るまではプール、海水浴なども避けなければいけません。
何か生活で気をつけることはありますか?
まずは爪を短くきること・爪の先を尖らせないことです。
そして手は石鹸でこまめに洗ってあげましょう。
流水で洗うことがポイントです。
また肌があれていたり、傷があると細菌が入りやすくなりますので、普段からワセリンなどで保湿することをおすすめします。
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