調剤薬局の決算月はいつがベスト?

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

こんにちは。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」編集長の伊川です。

今回は薬局の決算月について考えてみたいと思います。

薬局長のマネジメント講座ですが、今回の内容は「今後、会社を設立して薬局を開業する薬剤師向け」にお話したいと思います。

法人をつくると決算月を決めなければいけない

個人事業で薬局を運営する場合は1月1日〜12月31日が1期間と定められていますが、株式会社や合同会社などの法人を設立する場合、自分で決算月を決めなければいけません

たとえば決算月を3月と定めた場合、4月1日〜3月31日までに会社に残った利益から税金が算出されます。

税務署への報告は決算月の2ヶ月後までですので、3月決算の場合は5月末までに決算処理を終わらせなければいけません。

一度決算月を決めても、決算月の変更はできますが、書類の提出など手続きが必要となりますので、開業後の変更は極力さけたいところです。

では決算月はいつにするのがベストなのでしょうか?

一般的には

・繁忙期を避ける
(棚卸しや決算処理に時間がかかるため)
・利益が出る月を期首にする
(販管費をコントロールしやすいため)

といわれますが薬局の決算月はいつがベストなのか考えてみたいと思います。

調剤薬局・調剤併設ドラッグストア(大手)の決算月

上場会社の調剤薬局、調剤併設ドラッグストアの決算月をみてみたいと思います。
(2016年時点)

日本調剤株式会社の決算月

3月末

アインホールディングス(アイン薬局)の決算月

4月末

メディカル一光(フラワー薬局)の決算月

2月末

スギホールディングス(スギ薬局)の決算月

2月末

マツモトキヨシの決算月

3月末

このように代表的な調剤薬局、調剤併設ドラッグストアの決算月はバラバラですが2月〜4月が多い傾向にあります。

製薬メーカーの決算月が3月の理由は薬価改定があるため

同じ医療業界でも製薬メーカーの決算月は僕が知る限り3月末です。

一般論では決算月は繁忙期を避けた方がいいことから、何かとバタバタする3月末を決算月に選ばない製薬メーカーがあってもおかしくはないと思います。

では、なぜ3月末を決算月するのでしょうか?

それは「薬価改定の影響を反映するため」と考えられます。

製薬メーカーにとって避けられない宿命が2年ごとに施行される薬価改定です。

売り上げや利益の変化が、

・薬価改定の影響なのか?
・マーケットサイズの変化によるものか?
・競合他社によるものなのか?

を分析するためには「薬価改定のインパクト」を把握しなければいけません。

また売り上げの予想をたて戦略的に今後の戦術を立てやすくするためにも、3月末を決算月にするのがベストなのです。

調剤薬局の決算月も3月がベスト

「薬を売る製薬メーカーにとって3月末を決算月にするのがベストである」

というロジックから、

調剤報酬(売上)構成比の半分以上が薬剤料である調剤薬局も3月末決算がベストである

というのが僕の考えです。

薬局の場合は薬価改定以外にも調剤報酬改定もありますので「改定のインパクト」を把握するためには3月末決算がベストでしょう。

1〜数店舗の個人経営の薬局であれば、繁忙期を避けて6月〜9月くらいを決算月にするのもアリだとは思います。

しかし今後、

「薬局を拡大したい」
「戦略的に薬局経営を行いたい」

と考える鼻息の荒い薬局経営者なら3月末の決算をオススメします。

調剤薬局で3月末決算にするメリットとしては

・薬価改定、調剤報酬改定のインパクトを分析できる
・消費税や法改正の施行のインパクトを分析できる
・新卒薬剤師採用の予算を決算期単位で組める
・新卒入社研修費の予算を決算単位で組める
・決算期ごとの売上の予測や目標が立てやすい

が挙げられます。

だた3月末に決算すると、3月末に棚卸しでバタバタしたり、調剤報酬改定がある年は、バタバタする改定後の4月、5月に決算処理が重なるといったデメリットもありますが、戦略的に薬局経営を考えるなら3月末の決算がよいでしょう。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

薬局薬剤師としては、新規開業、継承に携わった経験、管理薬剤師としての経験を活かし、現在福岡県内でティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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