【薬価差益から脱却せよ】技術料ベースの店舗運営~処方箋一枚当たりの技術料平均

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

あなたが新規開局を任される管理薬剤師だとします。

経営者からは、「場所も押さえて店舗の改装も終わったから、後の運営は全てお前に託した」と言われました。

さて、あなたが新規開局を全面的に任された場合、何を優先して考えるでしょうか?

人員配置が最も重要

新規開局の際に特に考えないといけないのが、薬剤師と事務さんの人員配置です。なぜなら、処方箋を増やしていくのは薬局に従事するヒトであり、また販売管理費の大部分を占めるのも人件費だからです。

最もコストがかかり、かつ売上にも左右する「ヒトの配置」についてしっかりと考える必要があります。

キャッシュに余裕があったり、チェーン展開で他店からの応援が可能な場合は、新規患者さんなどの対応を考慮して、最初の3ヶ月間くらいは薬剤師も事務さんも1名多めで配置したいところです。しかし、小規模や個人での新規開局となればなかなか難しいでしょう。

販売管理費のうち、家賃や分包機・レセコン(リースor減価償却)、光熱費、などの月々のランニングコストはだいたい固定されますので、どれくらいの人件費を捻出できるか想定しなければいけません。

その際に指標としてみるのが「月間の技術料」です。

特に中小薬局の場合は薬価差益を考慮した売上総利益でなく、技術料ベースで店舗運営が黒字になるように、人員配置を考えることをオススメしたい思います。

大手調剤薬局チェーンの場合は規模の経済で価格交渉も有利になるだけでなく、不動在庫の店舗間移動が可能なため、薬価差益を見込んだオペレーションで問題ないと思います。

しかし、中小規模の薬局については、期限切れによる廃棄や、調剤ミス、薬価改定による資産減少の補填のためにも、薬価差益は考えず、技術料のみで店舗運営ができるように販売管理費をコントロールしていくのがよいでしょう。

技術料の内訳・平均はどれくらい?

厚生労働省が発表する調剤医療費の動向から、処方箋一枚当たり技術料平均の推移を下記にグラフ化しました。

技術料は、調剤技術料(調剤基本料+調剤料+加算)+薬学管理料から成り立っています。 基準調剤加算や後発医薬品調剤体制加算の有無、メインで受付する診療科目によって前後してきますが、全体の平均を頭に入れておくことをオススメします。

処方箋一枚当たり調剤技術料平均

このように平成21年からはゆるやかな右肩上がりで技術料平均が推移しています。長期処方が多い総合病院や、内科、一包化の多い精神科の場合は平均より高く、整形外科、小児科、耳鼻科、眼科は平均より低くなります。

仮に、月間処方箋枚数が600~700枚を見込めるとします。受付科目が内科がメインの場合、技術料は平均値よりやや高めになりますが、今回は平成26年の技術料平均を使用すると月間の技術料は131万~153万を見込むことができます。

この月間の技術料から人件費(社会保険、交通費含む)、家賃、リース代(or減価償却)、光熱費、返済などを支払えるように、人員配置を考えることをオススメします。

これからは、技術料平均は頭打ちになると思いますが、かかりつけ薬剤師指導料を算定したり、ハイリスク薬の指導に励んだり、基準調剤加算をとったり、地域で頑張る薬局は技術料平均は高くなってくるでしょう。

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

薬局薬剤師としては、新規開業、継承に携わった経験、管理薬剤師としての経験を活かし、現在福岡県内でティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
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