【在庫月数・回転数】薬局長(管理薬剤師)のためのマネジメント講座

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

経営資源の三大要素はヒト・モノ・お金といわれていますが、
薬局において「モノ」であり「お金」でもあるのが「薬」=「在庫」です。

特に薬局長(管理薬剤師)の大きな仕事の一つが在庫管理ではないでしょうか。

在庫を管理するにあたり、最低限見ておくとよい数値が「在庫月数」または「在庫回転数」です。

これらを把握することで、在庫が極端に多くないか、少なくないか、経営的に在庫金額に問題がないかといった判断材料となりますので、薬局長はぜひ店舗の数値を把握しておくことをオススメします。

それでは、「在庫月数」「在庫回転数」について解説していきます。

在庫月数・在庫回転数とは?

在庫月数の算出方法は

在庫月数=在庫金額÷月間処方薬剤料

となります。

在庫月数を算出することで、薬局にある在庫が、どれくらいの月数分あるかをみることができます。

たとえば、在庫金額が800万、月間処方薬剤料が400万とすると、在庫月数は2となります。(800万÷400万)

つまり薬局にある在庫がはけるのに、理論上(金額上)2カ月かかるということになります。

また在庫回転数は在庫月数の分母と分子をひっくりかえしたものになります。

在庫回転数は下記のように算出されます。

在庫回転数=月間処方薬剤料÷在庫金額

在庫金額が800万、月間処方薬剤料が400万とすると、在庫回転数は0.5となります。(400万÷800万)

つまり、1カ月間で、在庫金額の0.5回転分しか処方されないということです。

算出する際に注意しないといけないのが、処方薬剤料は薬価で算出されるため在庫金額も購入価でなく薬価で算出する必要があります

また指標を見るのは、在庫月数か在庫回転数かどちらか一つにしましょう。

在庫月数・回転数の理想・目安

薬局の規模や集中率にもよりますが、処方元の集中率が高く、処方箋枚数が多いほど、在庫月数は低く(回転数は高く)なります。
耳鼻科や眼科などの処方される薬剤の種類が少ない場合も、在庫月数は低く(回転数は高く)なります。

さまざまな医療機関から面で処方を受け付ける場合は、どうしても在庫月数は高く(回転数は低く)なります。
デッドストックも増えてしまいますからね。

処方箋枚数月間1000枚くらいで、面でも処方箋を受けていくなら、在庫月数は1.5(回転数は0.67)くらいが理想かと思います。

自分の経験からとなりますが、一般的な幅は、在庫月数は0.8~2、回転数なら0.5~1.25くらいでしょうか。

在庫月数が極端に低いと不足の原因に、極端に高いと在庫過多となりますので、定期的に数値をチェックしていくとよいと思います。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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