手足口病と薬局でよく受ける質問

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

特に夏の時期に小児に流行する感染症が手足口病です。

病院で聞くのを忘れてしまったのですが・・・。
と薬局でお父さんやお母さんから手足口病の疾患や食生活についての相談を受けたことがある薬剤師もいらっしゃるのではないでしょうか。

手足口病について、薬局で患者さんから質問を受けやすい内容をまとめました。
もし現場で困った際はファーマシスタの検索窓から「手足口病」と検索いただけるとこちらの記事を閲覧できます。

症状

  • 口の中の粘膜、手のひら足の裏足の甲などに2〜3mmの米粒大の水疱性の発疹
  • 水疱性の発疹は手足口全てにでるとは限らない。おしりにでることもあり。
  • 水疱はかさぶたにならずに消退する。
  • 口の中の水疱が破れてただれることで強い痛みを伴う潰瘍に。
    →食欲不振・不機嫌になる
  • 3割程度に発熱とされているがウイルスの型によってそれ以上の頻度の可能性もある。
  • 生後6ヶ月〜5歳までの小児がメイン。大人に感染することもあり。
  • 大人に感染すると手足の激しい痛みや、かゆみ、しびれがでるケースあり。
  • 通常は1週間程度で自然治癒する。
  • コクサッキーウイルスA6が原因ウイルスの場合、症状消失から1ヶ月以内に手足の爪が一時的に脱落する事例あり。ただし自然に治癒する。

原因ウイルス

主な原因ウイルス

  • コクサッキーウイルスA6、A10、A16
  • エンテロウイルス71

感染経路

  • 飛沫感染
  • 接触感染
  • 糞口感染

感染経路の詳細についてはこちらにまとめています
幼稚園・保育園・学校の感染症対策~感染経路・病原体について

潜伏期間

3〜6日

治療薬

なし
(通常は1週間程度で自然になおる)

対症療法のみ

  • 発疹による痛みや熱に対する解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)
  • のどの炎症にトラネキサム酸(トランサミン)が処方されるケースもあり
  • 痒みが伴う場合は、白色ワセリン亜鉛華軟膏抗ヒスタミンの塗り薬が処方されることもある
  • 通常は外用の副腎皮質ステロイド剤は用いない
  • 口腔内皮疹には潰瘍を形成することがあるのでデキサメタゾンなどのステロイド外用剤が処方されるケースあり

患者さんから薬局で聞かれる質問

 


患者さん

食事で何か注意することはありますか?

 


薬剤師

口の中に潰瘍ができると痛くて食事がとれないことがあります。
柑橘類など酸味の強いもの、塩味の強いもの、刺激物は避けることです。
あと通常の食事より柔らかく調理してあげましょう。
水分(ミルクなど)がとれない場合は、脱水を防ぐためにも少量ずつでいいのでこまめに与えてあげてください。
冷たいゼリーやアイスクリームだと食べてれるお子さんが多いです。
口の中の痛みがひどいと、ミルクやお茶、水でさえも嫌がるお子さんがいます。
その際は経口補水液のゼリータイプを冷たく冷やして与えるのもいいでしょう。

 


一度かかったら感染しない?


手足口病の原因ウイルスは複数あるため、別の原因ウイルスに感染した場合に再度発症するケースがあります。

 


保育園にはいつから行かせたらいい?


手足口病は学校保健安全法での明確な出席停止期間が設けられていません。

通常は熱が下がり、口の痛みが治り、通常の食事が摂れ、元気な様子であれば登園して問題ないとされています。
保育園などで独自に基準を定めている場合は、指示に従うようにしましょう。
ただし2〜4週間は便中からウイルスが排出されるので排泄物の処理には注意してもらうようにしなければいけません。

 


お風呂には入れていいですか?


熱がなく元気であれば問題ないとされています。
長時間の入浴は避けること、タオルの共用は避けるようにしましょう。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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