「小児の服薬指導」粉薬の服用タイミング・目薬の点眼方法

この記事を書いた人

今井雄基(いまいゆうき)

株式会社倉敷健康企画
管理薬剤師 認定実務実習指導薬剤師
岡山県出身

こんにちは、メディカルライターの今井雄基です。

以前総合病院の門前にある薬局にいたこともあり、小児科の処方に触れることが多かったのですが、現在は月に1回来ればいいくらい。
粉薬を延々と測って分包していたあの頃が懐かしい。

ということで、今回はお母さん・お父さんの目線に立った小児の服薬指導について服薬の時間に限ってお伝えしようと思います。

「小児」粉薬の服用タイミング・服薬指導

まずは粉薬について。

実際に子供に粉薬を飲ませると、大学時代に習った「少量の水で溶かして練って上あごにつける」というやり方がとても難しいことに気づきます。

例えばそれが1日3回だと、お母さんの負担はかなり大きいですよね。
離乳食が始まっているようであれば、ヨーグルトやアイスなど、必ず食べてくれるという食品に混ぜるのが一番楽だと感じます。

クラリスロマイシンとヨーグルトなど、混ぜることで苦みが強くなったりするものがあるのは皆さんご存知でしょうから、今回は割愛します。

服用する時間についてですが、乳児は起きている時に、というのが基本です。

授乳後は眠くなってしまうため授乳前に飲ませるのがよいでしょう。
頻繁に睡眠があるので、朝、昼、夕にきっちりではなく、時間を空けて、都合の良いときに服用してもらうように指導するのが良いと思います。

幼児になると、昼寝の時間も固定されてくるため、通常の朝、昼、夕の食事に合わせて服用してもらえば良いでしょう。
乳児と同様に食前の方が飲ませやすいです。

このように書くと薬物の体内動態が、とか、血中濃度が、とか言われるかもしれませんが、まずは飲んでもらわないと効果が出ないため、服薬を優先した書き方をしています。

薬や患児の状態、親の忙しさに合わせて指導の仕方を変えてみると良いでしょう。

「小児」目薬の点眼タイミング・服薬指導

次に目薬です。

こちらも用法通りに使用して頂くのが一番ですが、そうはいかないのが乳幼児。

いくら両親とはいえ、自分でも他人から目薬を点されるのは何だか嫌ですよね。
考えただけでちょっとぞわっとしました。
乳幼児もどんなに小さくても一緒ですよ。

たまに問題なくできる子もいますが、殆どの子は素直に点すのを待ってくれませんし、嫌がります。

子供の頭を両太ももで抑えて目薬を点す、という画像を見たことがありますが、これでおとなしくしてくれる子供は素晴らしい。

ではそうではない場合にどうするか。

答えは簡単、寝ている時に点せば良いのです。

昼寝をする時間がだいたい13時~17時の間に1回(保育園に通っている場合でもお昼寝タイムがあるので、保育園で点してもらえるかも)、夜に寝てすぐに1回、起きる前に1回。ほらこれで3回。

子供が先に起きて、親が起こされることが多く、
「子供が起きる前に親が先に起きて目薬を点す」というのが実際は難しいですよね。

起きている時に嫌がる子供に無理やり点すより、寝ている時に点す方がよっぽど現実的です。

無理やり点すと、親も疲労感が半端ないので、できれば避けることをお勧めします。

最後に魔法の言葉、
「1回くらい点さなくても効き目はありますから、無理に点そうとしなくても大丈夫ですよ。」
これで安心してくれます。

寝ている時の点眼方法ですが、
しっかりと手を洗って清潔にした指で、お子さんの下瞼をそっと引いて点眼します。
こぼれた液は拭き取ってあげるように指導しましょう。

小児の服薬指導はお母さん・お父さんの生活に配慮する

一般の方々は私たち薬剤師が思っているより服薬はきちんと守らないと効果がないと思っています。
小児のお母さんの場合は病気を早く治してあげたい気持ちが強いため、特にそうだと感じます。

今回お伝えした方法はあくまでも一例です。

患者さんの必要に応じて服薬指導の仕方を変えて、普段から忙しく大変なお母さんの負担をさらに増やすのではなく、少しでも患者さんに寄り添うような服薬指導ができると良いですね。

この記事を書いた人

今井雄基(いまいゆうき)

株式会社倉敷健康企画
管理薬剤師 認定実務実習指導薬剤師
岡山県出身

実習先の薬局で在宅医療に興味を持ちそのまま就職、2009年より現職。
調剤、在宅医療、OTCなど地域密着薬局での経験を元に現場に役立つ情報を発信してまいります。

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