【人時生産性】薬局長(管理薬剤師)が見るべき数値~薬剤師のためのマネジメント講座

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

あなたが調剤薬局を2店舗開局する薬局経営者だとします。

あるB店の薬局長からこのような相談を受けました。

「社長、うちの店舗は処方箋枚数がA店の2倍もあるのだからせめて正社員をもう一人増やしてくれないか?」

さて、社長であるあなたは、どのような判断を下しますか?また、B店の薬局長にどのような返答をしますか?

A店・B店のデータ

A店
月間処方箋枚数が1000枚 月間売上総利益300万円
薬剤師:正社員2名 パート1名体制(月間合計400時間)

B店
月間処方箋枚数が2000枚 月間売上総利益400万
薬剤師:正社員3名 パート2名体制(月間合計640時間)

このような時に参考になる指標が人時生産性(にんじせいさんせい)です。

人時生産性とは?

人時生産性とは、1人の従業員が1時間あたり、どれくらいの利益を生み出すかの指標となります。

人時生産性の算出方法は、月間粗利益÷総労働時間で算出されます。

では、A店とB店の人時生産性をみていきます。

A店の人時生産性は
粗利益(300万)÷労働時間(400時間)=7500円

B店の人時生産性は
粗利益(400万)÷労働時間(640時間)=6250円

A店の方が処方箋枚数は少ないにも関わらず人時生産性は高いですよね?

つまり、処方箋枚数の少ないA店の方が従業員一人当たりの負担が多いことが予想されます。
今回は売上総利益(粗利益)で算出しましたが、技術料で算出するのが一番早いでしょう。

基準調剤加算や後発医薬品調剤体制加算の有無、事務員の配置、処方内容(粉、粉砕、一包化が多い)などで異なってきますが、人時生産性を算出することで店舗一人当たりのだいたいの負担が分かるようになるのです。

人時生産性の目安・理想

一般的には人時間生産性は時給(1時間あたりの賃金)の約3倍が望ましいとされています。

また人時生産性は経営者だけでなく、薬局長レベルで把握することで大局的な視点を持つことができるようになります。

大局的な視点を持つことで偏った要望が出にくくなり、店舗間での人事異動にも協力的になれると考えています。

注意しないといけないのは、人時生産性はあくまで従業員の負担の指標の一つにすぎないと認識することです。

しっかりと店舗の状況をヒアリングした上で、人時生産性を判断材料の一つとすることをオススメします。

今回のケース、B店の薬局長には、処方内容や環境整備、人間関係などしっかりとヒアリングし、B店での苦労と活躍を認めた上で、人時生産性の話を切り出すのも一つの方法かと思います。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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