GLP-1アナログ一覧・作用機序・服薬指導のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2型糖尿病治療の注射薬は「インスリン製剤」が主流でしたが、

インクレチンホルモンのように働くGLP-1アナログ製剤が使用されるケースが増えてきました。

GLP-1アナログ製剤について一覧や作用機序、服薬指導でのポイントをまとめました。

GLP-1アナログ(GLP-1受容体作動薬)一覧・一般名・商品名

一般名 商品名 投与タイミング
リラグルチド ビクトーザ 1日1回
エキセナチド バイエッタ 1日2回朝・夕食前(60分以内)
エキセナチド ビデュリオン 週1回
リキシセナチド リキスミア 1日1回朝食前(60分以内)
デュラグルチド トルリシティ 週1回 
セマグルチド オゼンピック 週1回

 

作用機序

インクレチンホルモン・GLP-1とGIPの違い

インクレチンホルモンには、

  • GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)
  • GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)

があります。

GLP-1は小腸下部より、GIPは小腸上部より分泌され、血糖値の上昇に応じて膵臓β細胞からインスリン分泌を促進させたり、α細胞からグルカゴンの分泌を抑制し血糖値を低下させます。

インスリン分泌作用はGLP-1の方が数倍強いのが特徴です。

GLP-1はDPP-4によって不活性化される

GLP-1はDPP4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)にって速やかに不活性化されてしまいます。

そこでDPP4によって不活性化されないようにアナログ化されたのがGLP-1アナログ製剤です。

アナログとは「類似体」「似せたもの」という意味があります。

GLP-1アナログの主な働き

GLP-1アナログの主な働きは下記の4つです。

  • 血糖値の上昇に応じて膵β細胞からインスリン分泌を促す
  • 膵α細胞からグルカゴン分泌を抑制
  • 胃内容物排出遅延作用
  • 満腹感の促進と食事摂取の抑制

インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで血糖値を下げるだけでなく、
胃の運動を抑え食欲を低下させることによる体重減少も期待ができるのが特徴です。

DPP4阻害薬とGLP-1アナログ製剤の併用は査定の対象に

DPP-4阻害薬とGLPー1アナログ製剤の併用は、作用点が同じのため査定・返戻の対象となる可能性があります。

「禁忌」とはなっていませんが、DPP4阻害薬は配合剤も多いため、特に注意しなければいけません。

服薬指導のポイント

GLP-1アナログが処方された場合、打ち方の説明は必ず行う必要があります。

空打ちが必要となるもの、空打ちの必要がないもの、タイミング、保管方法なども製品ごとに違いがあります。

また薬局ではよくある副作用の対応についても事前に伝えておくのがよいでしょう。

消化器症状(下痢・悪心)について

GLP-1アナログの最も多い副作用が悪心下痢といった消化器症状です。

一般的には使用開始直後が最も高く、使用を続けていくうちに軽減していきます。

特に使い始めは

  • 高脂肪食は避ける
  • 腹八分目に抑える

といった指導をするとよいかと思います。

低血糖症状の対応について

GLP-1アナログ製剤は低血糖は起こりにくい薬剤です。

しかしタイミングを間違えたり、SU剤との併用時や、激しい運動をした時、Sick Day時などは低血糖が起こりやすくなります。

低血糖時の対処方法について事前に知らせておくようにしましょう。

急性膵炎について

機序は明確ではありませんがGLP-1アナログで「急性膵炎」が起こることが報告されています。
一部の製剤では「重大な副作用」に記載がされています。

嘔吐を伴うような持続的なおなかの痛み、発熱、吐き気などあればすぐに受診を勧めなければいけません。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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