ランタス注ソロスターとランタスXR注ソロスターの違い・切り替え方法

ランタス注ソロスターランタスXR注ソロスター(以下、それぞれランタス注、ランタスXR注)はともに1日1回の投与で血糖値を低下させる持効型インスリン製剤です。

糖尿病で使用している患者さんも多いのではないでしょうか。

また、医療機関でどちらかしか採用がなく、ランタス注⇔ランタスXR注のように切り替えることも多いのではないかと思います。

では、ランタス注とランタスXR注はどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの特徴と切り替え方法についてまとめていきます。

ランタスXR注とは

ランタスXR注はランタス注と同様の有効成分(インスリン グラルギン)ですが、有効成分の濃度をランタス注の3倍とした製剤です。

  • ランタス注
    →インスリングラルギン100単位/1ml
  • ランタスXR注
    →インスリングラルギン300単位/1ml

1単位あたりのランタスXR注の注入液量はランタス注の1/3と少なくなります。
ランタスXR注は注入液量を少なくできることで、皮下の無晶性沈殿物の単位量あたりの表面積が小さくなり、溶解速度が低下し、投与部位からのインスリングラルギンの吸収がより緩やかになります。

そのため、ランタス注よりも平坦で持続的な薬物動態及び薬力学プロファイルとなり、24時間以上にわたり安定した血糖降下作用を示すと考えられます1)

操作面での違い

  ランタス注
(300単位/3mL)
ランタスXR注
(450単位/1.5mL)
空打ち 2単位 3単位
注入時の保持時間 10秒 5秒
開封後の使用期限 4週間 6週間

特に空うちに違いがあるのは注意して説明しなけばいけません。

切り替え時の単位は

ランタス注からランタスXR注への切り替え

ランタス注からランタスXR注への切り替えは通常「同単位」となります。

<用法及び用量に関連する使用上の注意>
インスリン グラルギン100単位/mL製剤(ランタス注)からランタスXR注に変更する場合
通常初期用量は、前治療のインスリン グラルギン100単位/mL製剤の1日投与量と同単位を目安として投与を開始してください。

引用元 ランタスXR注 添付文書

つまり、ランタス注を10単位で使用している患者では、ランタスXR注も10単位での切り替えとなります。

ランタスXR注は濃度が3倍だから、ランタス注→ランタスXR注への切り替えは1/3単位にするのでは?
と疑問に思う薬剤師もいらっしゃるかもしれません。

ランタスXR注の注入器はランタス注と同様に1単位刻みで投与単位を設定でき、ランタスXR注の1単位あたりの注入液量はランタス注の1/3になります。
そのため、投与単位を3倍あるいは1/3を乗する等の再計算は不要です3)

しかし同単位での切り替え時に血糖値の上昇がみられることがあるため注意が必要です。
これは、ランタスXR注がランタス注よりも最大作用時間のピークが少ないためと考えられます。

ランタス注も最大作用時間のピークが少ないと言われていますが、わずかにあるピーク部分が、よりピークのないランタスXR注になることで、ランタス注によって下げられていた血糖値が上昇というかたちで現れているものと考えられます。

ランタスXR注からランタス注への切り替え

ランタスXR注からランタス注への切り替えは、通常「低用量での切り替えを考慮すること」とされています。

<重要な基本的注意>
ランタスXR注から他の基礎インスリン製剤への切り替え時
ランタスXR注の1日投与量よりも低用量での切り替えを考慮するとともに、切り替え時及びその後しばらくの間は血糖モニタリングを慎重に行ってください。

引用元 ランタスXR注 添付文書

これは臨床試験の後観察期間で、切り替え時に低血糖の発現が多い傾向が認められたためです。
ランタス注→ランタスXR注では、切り替え時に血糖値の上昇がみられていましたが、今回は逆ですね。

ランタスXR注→ランタス注では、最大作用時間のピークがわずかに長いランタス注に変更することで、ピーク分だけ血糖降下作用が現れるためと考えられます。

では、具体的に低用量とはどのくらいの用量になるのでしょうか。

販売元のサノフィの薬相談室に確認すると、ランタスXR注の添付文書には記載がありませんが、米国のランタス注の添付文書に「80%の用量が推奨される」と記載があるようです。

ランタスXR注を10単位で使用している患者では、ランタス注は8単位が目安でしょうか。

まとめ

  • ランタス注、ランタスXR注の成分はともにインスリングラルギン1日1回持効型インスリン製剤
  • 1mlあたりのインスリングラルギンをランタス注(100単位/ml)の3倍にしたのがランタスXR注(300単位/ml)。
  • 空打ちはランタス注は2単位、ランタスXR注は3単位
  • ランタス注→ランタスXR注への切り替えは通常は「同単位」。ただし血糖値の上昇に注意
  • ランタスXR注→ランタス注への切り替えは血糖値低下の可能性があるため通常は「低用量(米国では80%が推奨)」で行う。

ランタスXR注とランタス注の製剤・操作面での違いや、切り替え時の単位をしっかり確認し、指導していきたいです。

参考文献
1) ランタスXR注ソロスター インタビューフォーム
2) ランタスXR注ソロスター 添付文書
3) ランタスXR取扱い時の注意について

この記事を書いた人

もも

もも

薬剤師

明治薬科大学 薬学部卒

都内薬学部を卒業後、総合病院に勤務し、DI業務を経験。医療現場のニーズに応えられるように日々精進し、情報を収集・発信中。
臨床の薬剤師のために、そして患者さんのために!

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