アクリノール湿布の調剤・服薬指導の注意点

この記事を書いた人

J

薬剤師
日本大学 薬学部卒

こんにちは、薬剤師ライターのJです。

今回の記事は皮膚科の門前薬局で処方されたことがあるアクリノール湿布について書きたいと思います。

さて、この記事を見ている皆さんはアクリノール湿布という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

私はというとその皮膚科の門前薬局に来るまでは一度も聞いたことがありませんでした。

「アクリノールって消毒ですよね?それを湿布に使うんですか??」

といった感じです。

そこでまずは実際に私が受けつけた処方を見ていただければと思います。

アクリノール湿布の処方例(指示書つき)

Rp1 ソフラチュール貼付剤10cm 4枚

Rp2 0.1%アクリノール消毒用液「マルイシ」 50mL

このような処方です。

用法は書いていないですが、医師から患者への指示は1日2回であることが多いです。

そしてこの処方せんとは別に医師の指示書もあります。

指示書には

アクリノールセット50 1/16
油紙
紙テープ 

と書いてあります。

いかがでしょうか?
初見だとお手上げですね。

では解説に入ります。

まずはアクリノール消毒用液0.1%「マルイシ」の添付文書を見てみましょう。

【効能又は効果】
化膿局所の消毒 泌尿器・産婦人科術中術後、化膿性疾患(せつ、よう、扁桃炎、副鼻腔炎、中耳炎)
【用法・用量・希釈方法】
0.05〜0.2%の液として使用する。
本品を1〜2倍に希釈して用いる。

【効能又は効果】
口腔領域における化膿局所の消毒
【用法・用量・希釈方法】
0.05〜0.1%の液で含嗽する。
本品を1〜2倍に希釈して用いる。

引用元 アクリノール消毒用液0.1%「マルイシ」添付文書

やはり添付文書を見るだけでは使い方は分からないですね。

アクリノール湿布の使い方

ここからは先輩薬剤師から教わった解説になります。

この処方内容の症状は、だいたいが巻き爪かそれに類する症状です。

アクリノールセットとは、あらかじめ滅菌ガーゼ1枚を1/16に切り、その1/16のガーゼ16枚を軟膏容器50gに入れておきます。

その容器にアクリノール液を50mL入れたものです。 このアクリノールセットをユニパックに入れて調剤は完成です。

次に使い方です。

まずソフラチュール貼付剤を爪と皮膚の間に挟みます。

次にアクリノールセットのガーゼについたアクリノール液を絞って、そのガーゼをソフラチュール貼付剤の上に湿布のように当てます。

その上から液が漏れないように油紙を適当なサイズに切って覆います。
最後に紙テープで油紙を固定して終了になります。

といった感じで一回説明されても全然覚えられず、やっぱりメモを取って復習しました。

注意事項としては下記2点です。

  • アクリノール湿布は消毒目的ではなく炎症を鎮めるために使います。
  • アクリノールは黄色い液体で衣類につくとなかなか落ちないので注意するよう指導します。

今回の処方は巻き爪の症例でしたが、皮膚の炎症の場合はソフラチュール貼付剤の処方がなく直接アクリノール湿布を当てたり、化膿している場合はソフラチュール貼付剤の代わりにアクロマイシン軟膏を塗ったりします。

また、炎症部位の範囲が広い場合はアクリノールセットの1/8や1/4のガーゼを使ったり、アクリノール消毒用液の処方量が100mlとなっている場合は、アクリノールセットを2つ作ったりします。

以上がアクリノール湿布の調剤・使い方になります。

アクリノール湿布のエビデンス

さて、このアクリノール湿布ですが、本当に使い方があっているのか不安になりネットで調べたことがあります。

残念ながら具体的な使い方に関しては見つけることができませんでしたが、アクリノール湿布という言葉がちゃんと存在すること、アクリノールをガーゼに浸して使用されるケースがあることが確認できました。

また、アクリノール湿布は昔からよく使われていたようですが、エビデンスはないという論文もあったので、現在ではあまり処方されていないのかもしれません。

とはいえ私が働いていた薬局では実際にアクリノール湿布の処方が出ていましたので、もし処方を受けつけることがあればきちんと説明できないといけませんね。

この記事を書いた人

J

薬剤師
日本大学 薬学部卒

中小企業2社で管理職を経験。
現在は1店舗の薬局経営者。
薬剤師らしくない薬剤師を目指して日々精進を重ねていきたいと思っております。

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