患者さんに感謝される服薬指導とは?

この記事を書いた人

J

薬剤師
日本大学 薬学部卒

こんにちは。

薬剤師ライターのJです。

私自身の経験を基にした「患者さんに感謝される服薬指導」について書きたいと思います。

「薬剤師のやりがいは?」

と聞かれた時に

「患者さんから感謝されること」と答える薬剤師は多いのではないでしょうか。

私自身も患者さんから感謝されることはとてもうれしく思いますし、やりがいに感じます。

では具体的に「どうすれば患者さんに感謝される服薬指導ができるのか」については、あまり耳にしないので、自分の経験を基に考察し記事にしてみようと思います。

恥ずかしながら、私は処方せん枚数が多く非常に忙しい薬局や、管理職としての業務が多い薬局に勤務していた期間が長く、服薬指導が流れ作業のようになってしまっていたこともあります。

最初に勤務していた薬局では患者さんの待ち時間を表示していたのですが、60分待ちを超えることもよくあり、いかに早く正確に投薬できるかということだけ考えていました。

この当時は患者さんからのクレームは待ち時間の長さがダントツで多かったので、患者さんのことを考えると、「いかに早く投薬できるか」という考えが間違っているわけではないと思います。

しかし、これではただの作業ですね。

インターネットなどで目にする薬剤師への悪い評価ですが、

「ただ薬を拾って出すだけで終わり」
「症状聞いて終わり」
「こんなの誰でもできる」
「機械化が進めば薬剤師は淘汰される」

といった感じで将来的には機械でもできるような仕事です。

数年前ですが、厚生労働省の患者のための薬局ビジョンにおいて、薬剤師は対物業務から対人業務へという考え方が示されました。

薬局経営者になって思うことは、対人業務にシフトしていくにあたって服薬指導に十分な時間を確保することが、以前働いていた薬局の課題ではないかということです。

患者さんに感謝される服薬指導を行うことでかかりつけの患者さんを増やし、かかりつけ薬局として機能していくことが今後求められていくでしょう。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、服薬指導に十分な時間がとれない薬局に勤めながらも患者さんに感謝されることがありましたので、その事例を基に考察したいと思います。

服薬指導で感謝されたケース

ケース1 心療内科受診の患者さん

Rp ) レンドルミン錠0.25mg  1T 
寝る前 
前回DO処方

不眠で悩んでいたということで前回レンドルミン錠が初処方でした。

薬の効果を聞いてみたところ、眠れるようになったが次の日の朝まで眠気が残るのかぼーっとするとのことでした。

ここで薬剤師がとることができる行動・アドバイスはいくつかあると思います。

この当時の私は処方医に許可をとったうえで、


1錠だと薬が効きすぎているかもしれないので、試しにレンドルミン錠を半分にしてはどうですか、そしてその結果を次回受診時にドクターに話してください。

と伝えました。

しばらくたったある日、同僚の薬剤師から

「レンドルミン錠を半分に割ったら次の日ぼーっとすることなく眠れるようになったのでありがとうございましたと伝えてください」
 
と患者さんから言われたとの話がありました。

門前薬局の場合は服薬指導で薬剤師が治療にどこまで介入してよいか決まっている場合があるので注意が必要ですが、このケースでは私の助言に患者さんは満足していただけたようです。

ではなぜ感謝されたか、ということを考察します。

この患者さんは薬を飲んで次の日まで眠気が残ってぼーっとするとのことでした。
薬の副作用に関しての悩みがあったわけですね。

その対策を私から聞き、実行したところ悩みが解決した。

この悩みは薬剤師というよりは医師の方が解決しやすいように思えますが、患者さんは何らかの事情で医師には相談しなかったということですね。

医師に聞けなかった・聞かなかった悩みを薬剤師に相談したところ解決したということが患者さんの感謝につながったということだと考えられます。

ケース2 皮膚科受診の4歳の子供の母親

前回は保湿剤だけだったが、今回はアレジオンDSが処方追加。
最近蕁麻疹が出るようになり、かゆくてひっかいてしまうとのこと。

どういうときにひっかいてしまうか尋ねたところ、お風呂上りにひっかいてしまうとのことで、

体が温まると痒みが出ることがあるので、お風呂の温度を下げてみてはいかがでしょうか?女性が適温だと感じる温度は子供にとって結構高いことがあるので。

と伝えてみました。

患者さんのお母さんは41度位のお風呂に入っていたとのことで、今日から温度を下げて入ってみると言って帰られました。

次に患者さんのお母さんが来局したときは、

「おかげさまでお風呂の温度を下げて入ったらひっかかなくなり、蕁麻疹も落ち着きました、ありがとうございました」

とお礼の言葉を言ってもらえました。

それでは考察します。

このケースでは患者さんのお母さんになりますが、やはり悩みがありますね。

その悩みを薬剤師のアドバイスで解決することができました。

薬の飲み方や副作用といった薬学的な話ではなく、日常生活の注意事項を伝えて解決した形になります。

患者さんの悩みを聞き出そうとする姿勢が大事

今回紹介した2例は医師に聞けなかった・聞かなかった悩みを薬剤師に相談したところ解決したということが患者さんの感謝につながったのだと考えられます。

これは服薬指導ではないですが、

「海外の友人に日本でしか使われていない薬を届けたいのですがどうすればいいか」

といった相談を受けたことがあり、紆余曲折を経て患者さんに製薬会社の電話番号を伝えたところ、患者さんは満足して帰っていったのですが、その時はすごく感謝されました。

薬剤師にしかできないような内容は、言い換えると

「薬剤師ならできるだろうと患者さんに思われていること」

であり、薬剤師以外にもできる内容は、言い換えると

「薬剤師はこういうこともできるのかと患者さんが思ってくれること」

ではないかと私は考えます。

そして薬剤師に必要な能力として、

患者さんが悩みを相談しやすい雰囲気を出す接遇能力が大事であると考えます。

あとは悩みを解決できる知識や解決しようとする責任感があれば、多くの患者さんから悩みを聞き、解決することで、患者さんに感謝される服薬指導ができるのではないかと思います。

この記事を書いた人

J

薬剤師
日本大学 薬学部卒

中小企業2社で管理職を経験。
現在は1店舗の薬局経営者。
薬剤師らしくない薬剤師を目指して日々精進を重ねていきたいと思っております。

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