下剤は作用機序の違いから下記のタイプに分類されます。
主に外来処方で使われる塩類下剤、大腸刺激性下剤、タイプ2-クロライドイオンチャネル(CIC2)活性化薬について作用機序や特徴、薬局での服薬指導について役立つ情報をまとめました。
分類 | 一般名 | 商品名 | 作用機序 |
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塩類 下剤 |
酸化マグネシウム | 酸化マグネシウム マグミット |
【作用機序】 腸内で炭酸マグネシウムに ↓ 腸内で水分の再吸収を阻害 ↓ 腸内容物の水分を増やす(便を軟化) ↓ 膨張した腸内容物が腸を刺激 |
糖類 下剤 |
ラクツロース | ラグノスNFゼリー | 【作用機序】 大腸の腸内細菌で分解され乳酸などを発生 ↓ 腸管の蠕動運動を亢進 浸透圧を高め腸管内の水分を増やす【浸透圧性下剤】 |
大腸刺激 | センナ | アローゼン センナ末 アジャストA ヨーデルS |
【作用機序】 腸内細菌により「レインアンスロン」に変化 ↓ 大腸を直接刺激 アウエルバッハ神経叢(しんけいそう)を刺激 ↓ 大腸の蠕動運動が亢進 【特徴】 |
センノシド | プルゼニド ソルダナ センノサイド |
【作用機序】 腸内細菌により「レインアンスロン」に変化 ↓ 大腸を直接刺激 アウエルバッハ神経叢(しんけいそう)を刺激 ↓ 大腸の蠕動運動が亢進
【特徴】 |
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ダイオウ | ダイオウ末 | 【作用機序】 腸内細菌により「レインアンスロン」に変化 ↓ 大腸を直接刺激 アウエルバッハ神経叢(しんけいそう)を刺激 ↓ 大腸の蠕動運動が亢進 |
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ダイオウ配合 (ダイオウ・センナ・オウレン・硫酸Mg・酸化Mg) |
セチロ配合錠 | 【作用機序】 オウレン 止瀉作用,鎮痙作用,抗菌作用 ダイオウ・センナ・酸化Mgは上記参照 |
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ピコスルファートNa水和物 | ラキソベロン シンラック |
【作用機序】 腸内細菌由来の酵素アリルスルファターゼによってジフェノール体が発生 ↓ 大腸粘膜の刺激・水分吸収阻害 |
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ビサコジル | テレミンソフト 坐薬 |
【作用機序】 結腸・直腸粘膜の副交感神経末端に作用 腸粘膜への直接刺激 ↓ 大腸蠕動運動の亢進 結腸腔内水分吸収抑制作用もあり 【特徴】 |
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炭酸水素ナトリウム 無水リン酸二水素ナトリウム |
新レシカルボン 坐剤 |
【作用機序】 直腸で溶解後、炭酸ガス(CO2)を発生 ↓ CO2が直腸粘膜を刺激・直腸拡張 ↓ 拡張刺激がS状結腸に伝わり蠕動運動亢進 【特徴】 |
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その他 |
ルビプロストン | アミティーザ | 【作用機序】 小腸上皮のClC-2クロライドチャネルを活性化 ↓ 小腸での水分分泌促進 粘膜上皮機能変容薬と呼ばれる |
エロビキシバット水和物 | グーフィス |
【作用機序】 回腸末端部の胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害 ↓ 胆汁酸の再吸収を抑制 ↓ 大腸管腔内に胆汁酸が増加 ↓ 大腸管腔内の水分分泌増加&消化管運動促進 |
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マクロゴール製剤 | モビコール | 【作用機序】 モビコールを溶かした水は体内に吸収されない ↓ 便の水分割合が増加し便が軟化・便容積の増大 ↓ 腸が刺激され蠕動運動が活発になる ↓ 腸管内の水分増加に排便が滑らかに |
※参照資料 各製剤インタビューフォーム
便秘は大きく下記の2つに分類されます。
器質性便秘は大腸癌や大腸ポリープ、大腸の炎症など器質的な異常よって便秘になることをいいます。
機能性便秘については、さらに下記のように細かく分類されます。
機能性便秘の種類 | 特徴 |
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弛緩性便秘 | 筋力の低下・食生活などが原因で、腸の蠕動運動が低下して便秘となる。 高齢者・出産経験の女性に好発。 |
けいれん性便秘 | 大腸の過緊張により大腸が攣縮し便の輸送が障害される。 コロコロした便。残便感・下腹部痛があり。便秘と下痢を繰り返すことがあり。 心理的ストレスが原因。 |
直腸性便秘 | 排便反射の障害によって直腸の動きが悪くなることでおこる便秘。 便意の我慢や脊髄の障害、浣腸の乱用が原因。 |
薬局で大腸刺激性下剤や、塩類下剤が処方される場合、「弛緩性便秘」のケースが多いかと思います。
弛緩性便秘の食事や生活について服薬指導でのアドバイス事項をピックアップします。
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