潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は、
「主として粘膜を侵し、しばしば、びらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症」
と定義づけられており、厚生労働省からも特定疾患に指定されています。
激しい腹痛や下痢、血便を繰り返す「活動期」と症状が治まる「寛解」を繰り返すことから、
活動期を抑え、寛解を長期に維持することが基本的な治療方法となります。
大腸の炎症を抑える目的で処方されるのが、
メサラジン(5-アミノサリチル酸、5-ASA)
です。
メサラジンにはペンタサ、アサコール、リアルダと3種類の薬剤があります。
それぞれの違い、作用機序、服薬指導でのポイントをまとめました。
メサラジンが有効成分となる潰瘍性大腸炎治療薬にペンタサ、アサコール、リアルダがあります。
商品名 | 規格 | 特徴 |
---|---|---|
ペンタサ | 錠250,500mg 顆粒250,500mg包 注腸液1g/100ml 坐剤1g |
小腸〜大腸で放出 クローン病にも適応あり |
アサコール | 錠400mg | 1日3回 pH依存型放出調節 pH7.0以上でメサラジン放出 (回腸末端〜大腸全域) |
リアルダ | 錠1200mg | 1日1回でOK 小腸下部でコーティング溶解、大腸内で持続的に放出 親水性基剤と親油性基剤のマルチマトリックス |
ペンタサは小腸〜大腸で徐々にメサラジンが放出されるように設計されているため、クローン病(Crohn’s Disease:CD)にも適応があります。
アサコールはpH7以上となると、コーティングが溶けて回腸末端から大腸全域にメサラジンが放出されるように設計されているため、潰瘍性大腸炎(UC)の病変部位に集中的に効果を示します。
リアルダは病変部位の大腸で効果を示すように小腸下部のpHでコーティングが溶解し、マルチマトリックス(MMX)と呼ばれる親水性基剤と親油性基剤が混合された構造になっているため、大腸で持続的にメサラジンが放出されます。
そのためリアルダは1日1回投与となっています。
炎症細胞から放出される活性酸素の産生抑制
→炎症の進展と細胞傷害の抑制
アラキドン酸代謝物産生の抑制(ロイコトリエンB4 LTB4)
→炎症性細胞の組織への浸潤を抑制
ホスホリパーゼD活性化
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR-γ)活性化
核内因子κB(NF-κB)活性化の抑制
→炎症性サイトカイン(TNFα IL-6 IL-1β)の産生抑制
ペンタサ、アサコール、リアルダはいずれも徐放錠であるため、噛んで服用したり、粉砕や分割は避けなければいけません。
ペンタサ顆粒についても錠剤と同様に小腸〜大腸でメサラジンが放出されるようにエチルセルロースでコーティングされています。そのため、噛んだり、すりつぶして服用するのは避けるように伝える必要があります。
ペンタサ、アサコール、リアルダは錠剤の殻が溶けきれず便から出てくるケースがあります。
便から薬の殻が出てくることをゴーストピル・ゴーストタブレットと呼ばれます。
薬局でもびっくりされて相談を受けることがあるかもしれませんので、
事前に便中に薬が出ても、薬はしっかり吸収されているから問題ないことを伝えるようにしましょう。
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。
お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。
コメント欄ご利用についてのお願い
※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます