「下痢症」に適応のある止瀉薬は作用機序の違いから下記の種類があります。
同じ下痢止めであっても作用機序の違いから使い分けがされますので、
分類別の特徴や注意点は把握しておく必要があります。
分類 | 一般名 | 商品名 |
---|---|---|
収斂薬 | タンニン酸アルブミン | タンナルビン |
次硝酸ビスマス | 次硝酸ビスマス | |
吸着薬 | 天然ケイ酸アルミニウム | アドソルビン |
腸運動抑制 | ロペラミド塩酸塩 | ロペミン |
殺菌薬 | ベルベリン塩化物水和物 | キョウベリン |
ベルベリン塩化物水和物 ゲンノショウコエキス |
フェロベリン |
タンニン酸アルブミン(タンナルビン)は収斂(しゅうれん)薬に分類されます。
タンニン酸アルブミンは腸管内の膵液によって分解され、徐々にタンニン酸が遊離されます。
タンニン酸が腸管内のたんぱく質と結合すると保護膜を作り、腸管粘膜を保護し、腸管の炎症を抑え、刺激から守ることで過剰な腸の運動を抑える作用があります。
タンニン酸アルブミンは牛乳由来のアルブミン(乳性カゼイン)を使用しているため、牛乳アレルギーには禁忌となっています。
タンニン酸が鉄と結合しタンニン酸鉄となってしまい相互に作用が低下するため、タンニン酸アルブミンの添付文書上では鉄剤とは併用禁忌となっています。
経口鉄剤一覧
一方でこれらの鉄剤の添付文書ではタンニン酸アルブミンと禁忌になっておらず、
「タンニン酸を含有するもの」と併用注意となっています。
次硝酸ビスマスはは腸内のタンパク質と結合し皮膜を作り、腸への刺激を抑えることで二次的に蠕動を抑えます。(収れん作用)
また腸内での異常発酵により生じる「硫化水素」に結合し、無毒化する働きもあります。
ビスマス製剤では神経障害の副作用が現れることがあるため、 1ヶ月に20日程度の投与にとどめることとなっています。
ビスマス塩類(次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマス)1日3~20gの連続経口投与(1ヶ月~数年間)により、間代性痙れん、昏迷、錯乱、運動障害等の精神神経系障害(初期症状:不安、不快感、記憶力減退、頭痛、無力感、注意力低下、振せん等)があらわれたとの報告がある。これらの報告によれば、症状は投与中止後、数週間~数ヶ月で回復している。
引用元 次硝酸ビスマス「ニッコー」インタビューフォーム
天然ケイ酸アルミニウム(アドソルビン)は胃、腸管内における異常有害物質、過剰の水分、粘液などを吸着・除去し、有害物質が腸管から吸収されるのを防ぎ、下痢を抑えます。
また腸内でゲル化して腸粘膜を保護する作用もあるとされています。
アドソルビンの飲み方は薬局でも相談を受けるケースがあるのではないでしょうか。
アドソルビンは無味・無臭ですが、砂のようなザラザラした感覚が残り、とても飲みにくい薬です。
水には溶けず、ジュースに混ぜても飲みにくいため、アイスやヨーグルト、ゼリーに混ぜると相性がよいとされています。
食欲がなくアイスやゼリーの摂取が難しい場合は、水やぬるま湯に混ぜながら少しずつ飲ませてあげるのもよいでしょう。
天然ケイ酸アルミニウム(アドソルビン)は消化液や消化酵素も吸着することから、他の薬と併用する場合は基本的には1〜2時間は間隔をあける必要があります。
またニューキノロン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗生物質とは「アルミニウム」によるキレート形成のため「併用注意」となっています。
透析患者に天然ケイ酸アルミニウム(アドソルビン)を長期投与するとアルミニウム脳症、アルミニウム骨症があらわれることがあるため、透析患者には禁忌となっています。
ロペラミド塩酸塩(ロペミン)は腸管に作用し、蠕動運動を抑えることで、腸管から水分の吸収を促進し、下痢や軟便を改善します。
ロペラミド塩酸塩(ロペミン)は腸壁内にあるオピオイドμ(ミュー)受容体に作用することでアセチルコリンの遊離を抑え、腸管の蠕動を抑えます。
蠕動運動を抑えることで、消化菅内容物と腸管粘膜との接触時間が延長され水分吸収を増やします。
また腸管粘膜での水分分泌も抑えます。
このように「腸管の運動異常」を是正し、下痢の原因である「腸管粘膜での水分の吸収・分泌異常」を改善するのがロペラミド塩酸塩(ロペミン)です。
ロペラミド塩酸塩(ロペミン)では眠気・めまいの副作用があることから、
「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」
とされています。
ベルベリン(キョウベリン)は殺菌薬に分類される下痢止めです。
ベルベリン(キョウベリン)には下記のような働きがあります。
フェロベリン配合錠は殺菌薬に分類される下痢止めです。
ベルベリンに加えて生薬であるゲンノショウコが配合されています。
下記の作用があるとされています。
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