湿布薬・テープ剤はどれくらい体に吸収される?

この記事を書いた人

杉本進悟(すぎもとしんご)

Chloe Pharmacy 株式会社
高知県出身
研修認定薬剤師
AEAJアロマテラピー検定1級


患者さん

こんなにたくさん湿布を使って大丈夫?

このような問いに対して


薬剤師

湿布は局所に効いて吸収されないので安全ですよ。

そんな指導をしたことはありませんか?

ロコアテープ発売時には2枚貼付時のAUCが内服薬のAUCと同程度に上昇するため1日の貼付枚数の上限が2枚となりました1)

よく処方される湿布薬・テープ剤について内服薬などと比べてどの程度吸収されるのかをまとめました。

対象とした薬剤

今回は厚生労働省が公開しているNDB2)の処方上位薬剤から

  • モーラステープL40mg
  • ロキソニンテープ100mg
  • アドフィードパップ40mg
  • セルタッチパップ70mg
  • ボルタレンテープ15mg

以上の5品目を対象としました。

AUC・Cmaxの比較

吸収される用量を換算するうえで最も大切な数値はAUCかと思いますが、作用の強さについてはCmaxも大切になると思いますのでAUCとCmaxのふたつの数値を比較しました。

こうして見比べると外用でも内服でも使用されている薬剤というのは案外少ないのですね。

アップノン錠はほとんど使用されていないと思いますので実際に現場で使えそうな数値はロキソニンテープとボルタレンテープぐらいでした。

何錠分に相当するかという換算はAUCの比較から

ロキソニンテープ100mgはロキソニン錠60mgの約0.1錠分
ボルタレンテープ15mgはボルタレン錠25mgの約0.1錠分

Cmaxはロキソニンテープ100mgで5~6%、ボルタレンテープ15mgで1~2%程度でした。

しかしこれは血液中の濃度なので貼付部位に関してはもう少し高くなっていると思われます。

ロキソニンテープインタビューフォームにはラットのデータではありますが、皮膚、皮筋、骨格筋の投与後の薬剤濃度の違いについて記載があります。

逆に錠剤の場合は患部での薬物濃度は血液中よりも低いことが予想されます。

まとめ

今回は湿布薬・テープ剤がどの程度体内に吸収されるかについてまとめました。

外用薬だから併用しても大丈夫、大量・長期連用しても大丈夫と安易に伝えることがないように気を付けましょう。

※表に関して
モーラステープの比較薬は内服薬が販売中止になっているため坐剤としました。
フェルビナクは内服、坐剤等適当な比較対象がみつからなかったので該当なしとしました。
ボルタレンテープは小さい規格の方が処方量が多かったので小さい規格での比較としました。
またインタビューフォームからボルタレンテープ15mgと30mgを比較した場合なぜか同用量貼付しても30mgの規格のものは1.5倍程度多く吸収されるという記載がありましたので、ボルタレンテープ30mgに関してはボルタレン錠0.3錠分程度に相当すると思われます。
各数値は添付文書・インタビューフォームをもとに1枚あたりの数値に換算、単位の統一、四捨五入をおこなっています。
厳密には標準偏差や被験者の相違によるずれがありますが、今回は無視しています。ご了承ください。

参考文献
1)ロコアテープを適正にご使用 いただくために
2)第2回NDBオープンデータ
3)モーラステープL40mg添付文書
4)ロキソニンテープインタビューフォーム
5)アドフィードパップインタビューフォーム
6)セルタッチパップインタビューフォーム
7)ボルタレンテープインタビューフォーム
8)ケトプロフェン坐剤添付文書
9)ロキソニン錠添付文書
10)アップノン錠添付文書
11)ボルタレン錠添付文書

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杉本進悟(すぎもとしんご)

Chloe Pharmacy 株式会社
高知県出身
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