ベゲタミンA・B販売中止へ~理由は乱用防止のため

うつや統合失調症時の鎮静、催眠のために処方されるベゲタミンが販売中止が決定しました。

2016年12月31日を持って塩野義製薬からの供給を停止し、流通在庫次第で、販売中止となるそうです。

販売中止の理由は薬物乱用防止

ベゲタミンには、クロルプロマジン、抗ヒスタミン薬のプロメタジン、バルビツール酸のフェノバルビタールが配合されています。

ベゲタミンAとBの1錠中に含まれる成分量は下記の通りです。

有効成分 ベゲタミンA ベゲタミンB
クロルプロマジン塩酸塩 25mg 12.5mg
プロメタジン塩酸塩 12.5mg 12.5mg
フェノバルビタール 40mg 30mg

それぞれ単剤としても販売されており、クロルプロマジンはウインタミン、プロメタジンはヒベルナ、フェノバルビタールはフェノバールとして販売されています。

成分名 商品名 効能・効果
クロルプロマジン塩酸塩 ウインタミン  統合失調症,躁病,神経症における不安・緊張・抑うつ,悪心・嘔吐,吃逆,破傷風に伴う痙攣,麻酔前投薬,人工冬眠,催眠・鎮静・鎮痛剤の効力増強
プロメタジン塩酸塩 ヒベルナ 振せん麻痺,パーキンソニスム 麻酔前投薬,人工(薬物)冬眠,感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽,枯草熱,アレルギー性鼻炎,皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎,皮膚そう痒症,薬疹,中毒疹),じん麻疹,血管運動性浮腫,動揺病
フェノバルビタール フェノバール 不眠症
不安緊張状態の鎮静
てんかんのけいれん発作

 

この中で連用による依存性が問題になるのが「フェノバルビタール」です。

今はフェノバルビタールは「てんかん」で処方されるケースがほとんどかと思います。

フェノバルビタールは特に睡眠薬として使うことで、長期の連用や過剰服用となってしまい依存性がでてしまいます。

薬局でも不眠症で「ベゲタミン」が処方される患者さんから、

「ベゲタミンがないと眠れない・・・」
「ベゲタミンを服用しても眠れない・・・」

と相談されることが何度かありました。

ベゲタミン以上の睡眠薬が存在しないことからも、ベゲタミンを自己判断で過剰摂取してしまうことも問題でした。

離脱症状に注意

ベゲタミンを長期に服用している場合、急に服用を中止すると「離脱症状」が現れることがあります。

連用における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不安,不眠,痙攣,悪心,幻覚,妄想,興奮,錯乱又は抑うつ状態等があらわれることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行うこと。なお、高齢者,虚弱者の場合は特に注意すること

引用元 ベゲタミンインタビューフォーム

 

精神科や心療内科専門のDrなら問題ないかと思いますが、他院からの引継ぎでベゲタミンが処方されている場合は、早めに対処しなければいけません。

薬局薬剤師からも主治医に情報提供していく必要がありそうです。

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