こんにちは。
薬剤師ライターのJです。
中小企業の薬局で人事担当した経験や現在薬局を経営する立場から、転職を考えている方や現場で昇進したいと思って働いている方の参考になる話を書きたいと思います。
みなさんは中小薬局の経営者が採用の際に薬剤師に求める条件は何だと考えますでしょうか?
最初に結論を書きます。
私が考える中小企業の薬局が求める薬剤師とは、
人柄が良い薬剤師です。
では、なぜ「人柄の良い薬剤師」を重視する必要があるのか、そして求められる薬剤師になるために心がけることについてまとめていきたいと思います。
現在、薬局で働いている薬剤師の方は、今の薬局で求められていること、将来薬局で求められていることなど考えて働いていますか?
例えばかかりつけ薬剤師になってかかりつけの患者を増やし、薬局に貢献したいと思っている薬剤師の方もいると思います。
あるいは患者さんとコミュニケーションをとり他院の処方せんを増やそうとする方もいると思います。
これらは薬局の利益をプラスにする方法ですね。
かかりつけ薬剤師指導料が算定することができれば、手帳ありの患者さんの薬学管理料は+32点になります。(2018年度改定の場合)
例えば月1回年12回来局する患者で10名算定することができれば薬局の利益は
320円×12回×10人=38400円/年 増加。
また、患者さんとコミュニケーションが取れ、平均1枚2000円の利益の門前以外からの処方が月10枚増えたとしたら
2000円×10枚×12回=240000円/年 増加。
単純な利益だけでみると、かかりつけ薬剤師指導料を算定するだけでは大きな利益にはなりません。
門前以外からの処方せん枚数が増えると小規模の薬局としてはなかなかの利益になります。
一方ここからはマイナスの話です。
薬局薬剤師一人雇用するのに会社は年間いくら払うのかというと、勤務地や条件によって大きく変化しますが、ここでは仮に一般薬剤師の年棒を550万円で計算していきます。(厚生年金や交通費などは計算が複雑になるので省きます)
この550万円の薬剤師の方がどのようにして会社に入社したかが重要になります。
例えば、薬局ホームページやハローワーク、店内貼り紙などを見て来てくれた方なら採用にかかったコストはほぼ0です。
しかし一般転職サイトを通して入社した場合は手数料がかかり、その値は年収の30%にもなることがあります。
薬剤師1名一般転職サイトを通して雇用した場合、手数料は165万円+税(550万円×30%)になります。
この手数料を年間で賄うと考えると、かかりつけ薬剤師指導料430名/月、もしくは処方せん枚数月69枚の増加が必要になります。
あまり現実的な数字ではないですね。
さて、ここで薬剤師、転職といったワードで検索してほしいのですが、薬剤師転職サイトがたくさん検索に引っかかってくると思います。
今や薬剤師の転職ではこういった転職サイトを利用することが一般的ですね。
なぜこういったサイトがたくさんあるかというと薬剤師がたくさん転職するからです。
つまり薬剤師は離職率が高いということが言えます。
実際私が働いていた職場でも薬剤師の移り変わりはかなり激しかったところもありました。
一方で全く薬剤師が変わらない薬局もありました。
薬剤師が離職する理由は様々だと思いますが、人間関係を理由にやめていく薬剤師もいます。
ここまで書けば、すでに私が言いたいことは理解していただけたと思います。
すごいスキルを持った薬剤師が薬局に入ったとします。
その薬剤師のおかげでかかりつけの患者が20名増えました。
しかし口が悪い薬剤師でかかりつけの患者をとれない薬剤師を批判し、結果薬剤師が一人やめてしまいました。
仕方がなく会社は別の薬剤師を雇うことになりました。
転職サイトを通して薬剤師を雇い、150万円手数料がかかりました。
そうして入った新しい薬剤師でしたが、口が悪い薬剤師が嫌で半年でやめてしまいました。
また転職サイトを通して新しい薬剤師が見つかりました。
手数料180万円かかりました。
今度の新しい薬剤師は口の悪い薬剤師ともめることもなく働き、やがて口の悪い薬剤師は別の会社に転職し、また薬剤師の募集が始まりました…。
上記は創作話ですが、実際にこういう状況になることを薬局経営者は警戒しています。
手数料が高いのももちろんですが、新しい薬剤師が入るたびに仕事を教えたりする労力がかかります。
また、保険薬剤師の登録など事務的な手続きが必要になるし、かかりつけ薬剤師指導料を算定するには半年間の勤務が必要になります。
さらに管理薬剤師が辞めてしまった場合は5年以上の薬局経験者がいないと地域支援体制加算が取れなくなります。
また薬剤師がすぐに見つからない場合は派遣薬剤師を雇ったりすることもあるでしょう。
派遣薬剤師のコストは非常に高いうえに、契約期間が過ぎれば今まで教えたことはすべて無駄になってしまうという面もあります。
人柄が悪い薬剤師を一人雇ってしまったときのマイナスはどこまで広がるか計り知れません。
このマイナスが「中小企業の薬局が求める薬剤師とは人柄が良い薬剤師」という結論の根拠になります。
いかがでしたでしょうか、納得いただけたでしょうか?
では人柄の良い薬剤師とは具体的にどういったものか、どうすればなれるのかということを記載して今回の記事を終わりにしたいと思います。
私が一番重要だと思っていることは「気遣い」です。
薬剤師はおそらく学生時代から患者に対する気遣い、マナー、態度などを講義や実技で学んできていると思います。会社に入れば研修もあるでしょう。
しかし、同僚や部下、上司に対してはどういうふうに接したらいいのかということを学ぶ機会がなかなかないと思います。
その結果、学生時代の延長であまり気遣いをすることがなく失礼なことを言ったり、態度が悪くなったりしてしまい、人間関係が悪くなってしまうのでしょう。
ですので、まずは患者だけでなく同僚や部下、上司に対しても気遣いは必要だということを意識してもらえればと思います。
そうすることで、見えてくるものがあると思います。
いかがでしょうか、思い当たる節はありましたか?
こういったことを一つ一つ気遣いできるようになれば、上司や同僚、部下からの評判も良くなり、人間関係での転職は減っていくのだと思います。
中小企業が求める薬剤師とは、患者だけではなく、上司や同僚、部下にも気遣いができるような人柄が良い薬剤師であると私は考えます。
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