医療用医薬品のインタビューフォームの記載が変更されることになりました。
2019年4月以降に製造販売承認され、添付文書が新記載要領に対応した新医薬品から変更されるとのことです。
今回の改定では、新たに医薬品リスク管理計画(RMP)が項目として盛り込まれています。
そこでRMPを活用した医薬品情報管理について取り上げます。
RMPを使うことでいろいろな情報を得ることができるため、
「まだ使ったことがない」
「どうやって使えばいいかわからない」
といった方の助けになれば嬉しいです。
RMPとは、医薬品リスク管理計画(Risk Management Plan)という新しい仕組みです。
わかりやすく説明すると、薬が開発されてから患者さんの手に渡るまでの一連のリスク管理をひとまとめにした文書のことです。
医薬品のリスクを最小化するためには、開発・審査の段階でわかったリスクを実際に市販された後に情報提供したり、不足している情報を市販後に確認することが必要です。
厚生労働省は、2013年4月から新薬とバイオ後続品の承認申請の資料として、製薬企業にRMPの提出を義務づけました。
日本薬剤師会にわかりやすい説明がありますので、参考にしてみてください。
RMPは1~3の3項目(必要に応じて4が追加されることがある)から構成されています。
注目すべきリスクとその理由が記載されており、3つに分類されています。
① 重要な特定されたリスク
医薬品との関連性がすでにわかっているリスクです。
例えば、臨床試験で有意に発現している副作用や、多くの自発報告があり因果関係が示唆される副作用などです。
なぜ『特定されたリスク』としたのかという根拠が示されています。
② 重要な潜在的リスク
医薬品との関連性が疑われる要因はあるが、十分確認されていないリスクです。
例えば、薬理作用等から予測はできるが臨床的に確認されていない副作用や、同種同効薬で認められている副作用などです。
③ 重要な不足情報
安全性を予測する上で、十分な情報が得られていないリスクです。
治験対象から除外されているが、実際には高頻度で使用されることが想定されている患者(妊婦、高齢者、腎機能・肝機能障害患者、小児)の安全性情報について記載されています。
市販後に情報収集するための、調査・試験計画がわかるようになっています。
例えば、通常の副作用症例の収集だけでなく、使用成績調査や市販直後調査による情報収集などがあります。
開発段階と市販後で明らかとなったリスクを最小に抑えるための企業の安全対策が記載されています。
例えば、適正使用のための資材配布や、患者向医薬品ガイドの作成・提供などです。
有効性に関して検討する必要がある点が記載されています。
RMPには、それぞれの医薬品に、現時点でどのような重要な安全性の懸念(安全性検討事項)があるのか、また、市販後調査や臨床試験がどのような目的で実施されているのかが書かれています。
添付文書もRMPもどちらもリスクが記載されています。
しかし大きな違いがあります。副作用を例に上げると、添付文書に記載されているものはすでに起こったものです。
一方、確認が十分ではないが、起きる可能性のあるリスクを記載してあるのがRMPです。
「重要な特定されたリスク」はほとんど添付文書に記載がありますが、「重要な潜在的リスク」および「重要な不足情報」は添付文書に記載のないリスクについて記載されています。
そのため、添付文書からは入手できない情報を得ることができます。
わたしの勤務する病院では、RMPを活用して医師へ情報提供を行っています。
RMPはPMDAのホームページから見ることが可能です。
また、e-RMP UpdateというRMPをまとめたサイトもありますので参考にしてみましょう。
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