PMDAの審査報告書を活用していますか?

この記事を書いた人

今井雄基(いまいゆうき)

株式会社倉敷健康企画
管理薬剤師 認定実務実習指導薬剤師
岡山県出身

こんにちは、メディカルライターの今井です。

先日記事にしたゾフルーザ錠が医薬品の承認をされましたね。

2018年に収載時のゾフルーザの薬価は4789円(20mg2T、成人量)となっており、イナビル吸入(2キット、成人量4279.8円)の類似薬効比較方式で有用性加算5%と先駆け審査指定制度加算10%により算出されています。

タミフルカプセル75mgの薬価が10T(成人量)で2720円ということもあり、個人的にはタミフルを飲もうかなぁと思う所です。

突然ですが、新しい医薬品が承認された時に皆さんは何を見て有効性、安全性を判断しますか?

メーカーHP、添付文書、インタビューフォーム(IF)、メーカー説明会など色々あるでしょうが、審査報告書は読んでいるでしょうか。

そもそも審査報告書を知らない方もいると思いますので簡単に説明をしておきます。

審査報告書とインタビューフォームの違い

審査報告書とは個々の医薬品の承認にあたって製薬会社がまとめた申請書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下PMDA)が審査、PMDAとしての見解をまとめた資料です。

添付文書やIFは製薬会社がまとめたものなので、臨床試験データも不要な(製薬会社にとって都合の悪い)データは消されて載っています。

一方で審査報告書はその医薬品の承認にあたって使われたデータが全て載っています。

先日記事にしたアレサガテープでは、審査報告書では第Ⅲ相臨床試験のアレサガテープ、プラゼボ、ザイザルのプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が、添付文書とIFではプラセボ比較の二重盲検比較試験に見事に訂正されていました。(参照薬として試験を行っているだけで統計学的に比較を行っているわけではないため。)

効果についてはザイザルと同等とみられる結果が出ていましたが、傾眠の副作用については明らかにザイザルよりも高い頻度で出ており、都合の悪いデータとして消されてしまったのでしょうかね。

上記の例のように、審査報告書を読むことで製薬会社の都合の良いデータに惑わされることなく、医薬品の有用性、安全性などについて理解を深めることができます。

薬剤の適正評価のために必要な審査報告書

薬剤師として適正に医薬品を評価するために審査報告書は是非読んでいただきたい資料です。

もちろんすべての医薬品について目を通すことは難しいですし、承認されてから年数の経っている医薬品についてはその後の臨床試験データや再評価のデータが出ており、添付文書の改訂も随時行われていることから、そちらのデータを主に参考にすべきであることは補足しておきます。

ちなみに審査報告書はPMDAのHPから見ることができます。

検索で「医薬品名 審査報告書」でだいたい出てくるので、そちらの方が早いかもしれません。

この記事を書いた人

今井雄基(いまいゆうき)

株式会社倉敷健康企画
管理薬剤師 認定実務実習指導薬剤師
岡山県出身

実習先の薬局で在宅医療に興味を持ちそのまま就職、2009年より現職。
調剤、在宅医療、OTCなど地域密着薬局での経験を元に現場に役立つ情報を発信してまいります。

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