【坐剤・座薬】薬効分類別一覧〜嚥下状態低下患者への処方提案〜

この記事を書いた人

杉本進悟(すぎもとしんご)

Chloe Pharmacy 株式会社
高知県出身
研修認定薬剤師
AEAJアロマテラピー検定1級

嚥下状態が低下している患者さんなど内服以外の剤形を使用したい場合に坐剤・座薬が候補となります。
吸収が早く効果発現が早いという特徴があり、経口摂取が困難な患者様にも使用することができます。

そこで薬価収載されている坐剤・座薬にどのような種類があるのかを薬効別にまとめました。

この記事のポイント

  1. カロナール坐剤やナウゼリン坐剤以外にも様々な薬効の坐薬が存在する
  2. 水溶性基剤の坐剤と疎水性基剤の坐剤が存在する
  3. 成人に使用する際には適用を確認する必要がある

 

目次

坐剤・座薬のメリット・デメリット・注意事項  

坐剤・座薬薬効分類別一覧

おわりに

坐剤・座薬のメリット・デメリット・注意事項

坐剤・座薬のメリット

  • 経口摂取ができない患者様にも使用できる
  • 通常効果発現が内服薬よりも早い
  • 大部分が直腸から吸収されるため初回通過効果を受けない
  • 食事の影響を受けない

坐剤・座薬のデメリット

  • 投与難易度が内服やテープ剤などに比べて高い
  • 冷蔵保存が必要なものがある

坐剤・座薬の注意事項

  • 複数の坐剤を同時に使用する場合は順番に注意が必要
    水溶性基剤の坐剤→疎水性基剤の坐剤の順に使用し、30分以上間隔を開けるようにしましょう。
  • 小児にしか適用がない坐剤があります。
    成人が禁忌となっているわけではないので返戻となる可能性は低いですが提案する際には注意しましょう。

 

水溶性基剤・疎水性基剤について

坐剤・座薬の中には水溶性基剤を使用しているものと疎水性基剤を使用しているものがあります。
先に疎水性基剤を使用すると腸粘膜に疎水性の膜ができてしまい水溶性基剤の坐剤の吸収が遅れてしまいます。
異なる基剤の坐剤を併用する場合は水溶性基剤→疎水性基剤の順で30分程度間隔をあけて使用しましょう。

吸収が遅れてしまう仕組みについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
油脂性基剤(アンヒバ・アルピニー)の坐薬に脂溶性薬物(ダイアップ・ナウゼリン)が取りこまれる仕組み

水溶性基剤・疎水性基剤の見分け方

水溶性基剤はマクロゴールを使用しています。
ナウゼリン坐剤・ダイアップ坐剤・レペタン坐剤が該当します。
疎水性基剤はハードファットやグリセリンなどを使用しています。
水溶性基剤の3種類以外は疎水性基剤です。

 

坐剤・座薬薬効分類別一覧

消炎鎮痛剤(NSAIDs)

一般名 主な先発医薬品の商品名
アセトアミノフェン
アルピニー坐剤50mg /100mg/200mg
アンヒバ坐剤小児用50mg/100mg/200mg
カロナール坐剤50mg/100mg/200mg/400mg
インドメタシン
インテバン坐剤25mg/50mg
ケトプロフェン
ケトプロフェン坐剤50mg/75mg(先発なし)
ジクロフェナクナトリウム
ボルタレンサポ12.5mg/25mg/50mg
ピロキシカム
バキソ坐剤20mg
フェルデン坐剤20mg
 

オピオイド薬(オピオイド系鎮痛薬)

一般名 主な先発医薬品の商品名
モルヒネ塩酸塩水和物
アンペック坐剤10mg/20mg/30mg
ブプレノルフィン塩酸塩
レペタン坐剤0.2mg/0.4mg

 

下剤(排便機能促進剤)

一般名 主な先発医薬品の商品名
ビサコジル
テレミンソフト坐薬2mg/10mg
炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム
新レシカルボン坐剤

 

痔疾用剤

一般名 主な先発医薬品の商品名
ジフルコルトロン吉草酸エステル・リドカイン
ネリプロクト坐剤
トリベノシド・リドカイン ボラザG坐剤
ヒドロコルチゾン・フラジオマイシン配合剤
プロクトセディル坐薬
リドカイン配合剤
ヘルミチンS坐剤
大腸菌死菌・ヒドロコルチゾン
ポステリザンF坐薬
強力ポステリザン(軟膏)

 

潰瘍性大腸炎治療薬

一般名 主な先発医薬品の商品名
サラゾスルファピリジン
サラゾピリン坐剤500mg
メサラジン ペンタサ坐剤1g
ベタメタゾン
リンデロン坐剤0.5mg/1.0mg

 

抗けいれん薬

一般名 主な先発医薬品の商品名
フェノバルビタールナトリウム
ルピアール坐剤25mg/50mg/100mg
ワコビタール坐剤15mg/30mg/50mg/100mg
ジアゼパム
ダイアップ坐剤4mg/6mg/10mg

 

抗不安薬(マイナートランキライザー坐剤)

一般名 主な先発医薬品の商品名
ブロマゼパム
ブロマゼパム坐剤3mg「サンド」

 

制吐薬(消化管運動改善剤)

一般名 主な先発医薬品の商品名
ドンペリドン
ナウゼリン坐剤10mg/30mg/60mg

 

抗生物質(合成セファロスポリン製剤)

一般名 主な先発医薬品の商品名
セフチゾキシムナトリウム
エポセリン坐剤125mg/250mg

 

鎮咳薬(感冒・上気道炎、急性気管支炎治療剤)

一般名 主な先発医薬品の商品名
dlーメチルエフェドリン塩酸塩・ジプロフィリン アニスーマ坐剤

 

抗悪性腫瘍薬(代謝拮抗剤)

一般名 主な先発医薬品の商品名
テガフール
フトラフール坐剤750mg

 

おわりに

坐剤は経口摂取が難しくなった患者様に使える貴重な投与経路の一つです。

投与の難易度は高いですが効果発現までの時間が短いため緊急時の使用には適しています。
どのような薬剤があるかを把握して適切に提案できるようにしましょう。

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