P(リン)はCa(カルシウム)と一緒に骨を作ったり、筋肉を作る上で必要なミネラルです。
血液中のリン濃度は
によって影響を受けます。
特に腎臓がリンの恒常性維持に重要な働きをしています。
慢性腎疾患の患者さんでは、腎臓からリンが排泄されにくくなるため「高リン血症」となってしまいます。
高リン血症となると、副甲状腺ホルモンのPTHの分泌が亢進し、二次性副甲状腺機能亢進症となり、骨からCaを溶かしたり、体内のリンやカルシウムが骨以外の場所で沈着する異所性石灰化が起こることがあります。
血管で石灰化すると心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくなってしまいます。
このように血液中のリンの濃度が高くなると合併症を引き起こしてしまうため、リンのコントロールは極めて重要です。
高リン血症治療薬は、全て食物中、特にタンパク質に含まれるリンの吸収を消化管内で抑える作用があります。
そのため飲み方は「食直前」か「食直後」の縛りがあります。
高リン血症治療薬はカルシウム(Ca)製剤、ランタン(La)製剤、鉄(Fe)製剤といった非ポリマー製剤と、ポリマー製剤に分類されます。
それぞれの商品名、飲み方についてまとめました。
一般名 | 商品名 規格 |
飲み方 |
---|---|---|
沈降炭酸カルシウム Ca製剤 |
カルタン 錠250mg,500mg OD錠250mg,500mg 細粒83% |
食直後 |
炭酸ランタン水和物 La製剤 |
ホスレノール チュアブル錠250mg,500mg OD錠250mg,500mg 顆粒250mg,500mg |
食直後 |
クエン酸第二鉄水和物 Fe製剤 |
リオナ 錠250mg |
食直後 |
スクロオキシ水酸化鉄 Fe製剤 |
ピートル チュアブル錠250mg,500mg |
食直前 |
セベラマー塩酸塩 リン結合性ポリマー |
レナジェル フォスブロック 錠250mg |
食直前 |
ビキサロマー リン結合性ポリマー |
キックリン カプセル250mg 顆粒86.2% |
食直前 |
沈降炭酸カルシウムのCa3+(カルシウム)がPO43-(リン酸)と結合し、不溶性のリン酸カルシウム(第二リン酸カルシウム[CaHPO4]、第三リン酸カルシウム [Ca3(PO4)2])となって、消化管からリンの吸収を抑制。
炭酸ランタンのLa3+(ランタン)が消化管でPO43-(リン酸)と結合し、リン酸ランタンとなり、便から排泄。
La3+・CO32-(炭酸ランタン) + PO43-(リン酸) → La3+・PO43-(リン酸ランタン) + CO32-
第二鉄(3価鉄)が消化管内のリン酸と結合し、リンの吸収を抑える。
多核性の酸化水酸化鉄の配位子(水酸基と水和物)がリン酸と結合し、リンの吸収を抑える。
セベラマー塩酸塩が食物中のリンを吸着し便から排泄。(リン結合性ポリマー)
陽性荷電状態のアミノ基を介するイオン結合と水素結合によりリン酸と結合し、糞便から排泄(リン結合性ポリマー)。
エナラプリル(併用時のAUC約80%)
アトルバスタチン(併用時のAUC約70~80%)
バルサルタン(併用時のAUC約30~40%)
カンデサルタン(in vitro)
テルミサルタン(in vitro)
オルメサルタン(in vitro)
イルベサルタン(in vitro)
参照 各インタビューフォーム
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