アセトアミノフェン(カロナール・アンヒバ・アルピニー)作用機序

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

解熱時に使うアセトアミノフェンは、ロキソプロフェンやイブプロフェンとはどう違うの?
どうやって熱を下げるの?

薬局で患者さんからこのような質問を受けるケースはあるかもしれません。

アセトアミノフェン製剤といえば、

  • カロナール錠・細粒・シロップ・坐剤
  • アセトアミノフェン原末・細粒・錠・坐剤
  • アンヒバ坐剤
  • アルピニー坐剤

などが存在し、解熱剤として処方されるケースが多いかと思います。

しかし、
アセトアミノフェンがどのようにして解熱作用を示すのか?
作用機序について聞かれると即答に困るケースがあったことから、自身のためにも記事に残しておきたいと思います。

アセトアミノフェン作用機序

アセトアミノフェンは、

  1. 解熱作用
  2. 鎮痛作用(マイルドな)

の2つの作用があります。
ちなみに抗炎症作用はありません

解熱の作用機序

視床下部の体温中枢に作用し熱放散を増大させ解熱作用を示します。

体の中の水分の移動末梢血管の拡張とが相まって起こる発汗により体温を下げます。

汗がでなくて熱がこもっているような状態には適した薬剤といえるでしょう。

なお、平熱以上に体温を下げることはありません。

鎮痛の作用機序

視床と大脳皮質の痛覚閾値の上昇効果にとって鎮痛作用を示します。
抗炎症作用はありません。

服薬指導ではNSAIDsのように「痛みや炎症をおさえます」といった説明はNGとなります。
アセトアミノフェンの鎮痛作用は「緩やかな痛みをおさえる」ことに限られており、「抗炎症作用はない」のがポイントです。

どれくらいで効いてくる?

患者さんから聞かれる質問に、
「どれくらいで効いてきますか?」
といった「効果の発現時間について」が多くあるかと思います。

個人差がありますが、錠剤と坐剤のTmaxとT1/2は下記のとおりです。
経口薬に比べて坐薬の方がTmaxが短いイメージがありますが、錠剤の方がTmaxが短いのが驚きです。

  Tmax T1/2
カロナール錠200mg
空腹時2錠服用(n=14)
0.46±0.19 2.36±0.28
アンヒバ坐剤
400mg単回投与時(n=10)
1.60±0.16 2.72±0.26

(単位 hr)

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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