患者さんに服薬指導をする際に
どのようなことを心がけていらっしゃるでしょうか?
「併用薬や副作用の確認を確実に行う」
「処方されている薬をわかりやすく説明する」
等々。
そのために日々勉強に励み
「もっとスキルアップしたい!」
という向上心のある薬剤師さんはたくさんいらっしゃるでしょう。
では、“薬剤師としてのスキル”とは
具体的にはどんなものがあるでしょう。
薬の知識、調剤の正確さやスピードはもちろんのこと、
患者さんと対面する場合に必要になるのは
“コミュニケーションのスキル”です。
今回は、
コミュニケーションスキルをレベルアップして
あなたの薬剤師としてのレベル(=市場価値)を上げるための提案をしたいと思います。
私が薬剤師として初心者だった頃。
「かかりつけ」という言葉がまだなかった時代ですが、
患者さんからとても信頼されている先輩薬剤師がいました。
常連の患者さんの処方内容は全て頭に入っていて
処方箋を受け取った瞬間にこう声をかけていました。
お薬1種類増えたんですね。
数値、あまりよくなかったんですか?
そうなんだよね。
新しい薬はどんな薬?
と、早速質問が来ました。
その様子を見て「かっこいいなぁ」と、
新米薬剤師の私は思っていました。
ある時は患者さんから
「この間はありがとう。これみんなで食べて。」
とお菓子をいただくことも。
いえいえ、
お菓子をもらいたいわけではありません(笑)。
薬剤師はプロフェッショナルな専門職ですので
たとえ会社や薬局に所属する社員であっても
個人の能力を高めていくことは常に必要だと思います。
目指す薬剤師像というものは人それぞれだと思いますが
薬の知識が頭に入っているというだけで満足することなく
もう一歩すすんで
「あなたに薬のことは任せたい」と言っていただける患者さんを
一人一人増やしていくということが
更に上のレベルの薬剤師を目指すことに繋がるのではないかと考えます。
患者さんとの信頼関係を作るためには何が必要でしょうか。
前出の先輩薬剤師は
患者さんとのコミュニケーションをとるのがとても上手で
そのコミュニケーションによって患者さんの心を掴んでいたと思います。
「私は患者さんとのコミュニケーションは得意です」
という方にはこれ以降の話は必要ないかもしれません。
コミュニケーションをとるのが苦手という方、
患者さんとの人間関係をなかなか作れなくて悩んでいるという方は
まずは簡単なことから初めてみましょう。
コミュニケーションの第一歩として
心がけたいのが
「最初の印象」と「最後の印象」です。
心理学においては、最初の印象、つまり第一印象は「初頭効果」
最後に残る印象については「親近効果」といわれています。
これは私が化粧品会社に勤務していた時にも学んだものです。
この2つのうち、どちらが大事かと考えた時に
「第一印象が大事」と考える人が多いと思います。
身だしなみや気持ちの良い挨拶などが最も重要と考える方は多いことでしょう。
でも、実は、別れ際の印象は第一印象と同じくらい大切です。
最後に良い印象を残すために
別れ際にどんな言葉をかければよいかを考えてみましょう。
よくあるのが
「では、お大事になさってください。」
忙しい時はこれで終わってしまいがちです。
悪くはないのですが、
せっかく丁寧に薬の説明をしても
これだけではちょっとあっさりしすぎで、あまり印象が残りません。
説明を終えて薬を袋に入れるちょっとした合間などに
もう一言そえてみましょう。
その一言は、
患者さんへのワンポイントアドバイスのようなものをイメージしてみてください。
例えば、冬に高齢の患者さんであれば
「風邪やインフルエンザが流行っていますので、手洗いうがいで予防してくださいね。」
・・・え?これだけ?
と思われるかもしれませんが、
硬い表情で薬の説明を聞いていた患者さんも
かなりの確率で
「ありがとう。気をつけます。」
と笑顔を返していただけます。
これぐらい簡単な一言であれば、
繁忙期でもできそうな気がしませんか?
生活習慣病のサラリーマンの患者さんに
「年末年始、食べ過ぎ飲み過ぎには注意してくださいね。」
と声を掛けると
「そうなんですよね。ありがとう。忘年会も多いし体重管理気をつけます。」
と返していただけました。
夏場であれば
「気温が上がってきたので熱中症にならないよう、水分こまめにとってくださいね。」
など。
患者さんの年齢や持病、季節などにより
“ちょっと気の利いた一言”として
いくつかのパターンを用意しておくとスムーズです。
この小さなコミュニケーションの積み重ねが
あなたのファンを増やすことにつながります。
アイドルが帰り際の握手会で、一言言葉を交わして
ファンを獲得するイメージです。
別れ際の印象というのは第一印象以上に強く残ります。
「次は薬や病気のことで気になっていること、もっと聞いてみたいな」
そんな印象を残してお帰りいただければ成功です。
最後にどんな言葉をかけるか、是非考えて、
そして、試してみてください。
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