薬局開設許可の保健所立会検査で必要な備品・書籍リスト

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

薬局を新規で開業、またはM&Aなどで継承する場合に、薬務課(保健所)の立会検査を受けなければいけません。

保健所の立ち入り検査までに、定められた備品・書籍を準備する必要があります。

私がこれまで何度か薬局の立ち上げの度に、何度も保健所に出向いて確認をした経験をもとに、記事に残しておきたいと思います。

新規で薬局開業される方の参考になれば幸いです。

薬局開局時の備品一覧

保健所の立ち入り検査時にチェックされる備品は下記のとおりです。

  • 液量器
  • ビーカー
  • メスフラスコorメスシリンダー
  • 温度計(100℃まで測れるもの)
  • 水浴
  • 軟膏板
  • へらを金属製と角製(またはこれに類するもの)一つずつ
  • 乳棒・乳鉢(散剤用)
  • はかり(感量10mg,100mgに対応できるもの)
  • ふるい器
  • メスピペット
  • 薬匙(さじのこと)金属製と角製(またはこれに類するもの)を一つずつ
  • ロート
  • 調剤台(奥行き50cm以上、幅150cm以上)

「へら(軟膏ヘラ)」と「薬匙(さじのこと)」は金属製に加えて、角製(つのせい)のものが必要です。
理由は金属の腐食防止のために角製で対応するケースがあるからです。
ちなみに角製は「またはこれに類するもの」となっていますのでプラスチック製アクリル製で対応可能です。

液量器、ビーカー、メスフラスコ(orメスシリンダー)については、
それぞれ1つの規格のみで可とされています。

液量器は平成26年までは200mlと20mlの2規格が必要でしたが、「規格」については廃止となっています。
しかし液量器は「小容量(50cc 未満)及び中~高容量(50cc 以上)のものを各1つ以上備えることが望ましいこと」となっていますので管轄地域によっては2規格以上必要とされるケースもあるかもしれません。
念のため事前に管轄の保健所(薬務課)へ確認をとっておきましょう。

「水浴(軟膏を溶かす際など湯せんに使うもの)」や「液量器(円柱で水剤の量を測るもの)」のイメージがつきにくいかと思いますが、上記の備品については、アスクルなどでセットで購入可能です。

調剤台は監査台・作業台のもので、調剤機器メーカーさんから購入すると1o万円以上はしますので、高さ85cm〜90cmくらいのテーブルをネット通販などで探すのをオススメします。
高さが70cm(通常のテーブル)だと低すぎ、100cmだと身長の低い方には高すぎてしまいます。

薬局開局時の書籍一覧

下記の4種類の書類が立会検査で必要となります。

全てにおいて、PC(USBも含む)にデータを保管または、インターネット上からすぐに閲覧し、印刷できる体制が整っていれば、書籍を購入しなくてもOKとなっています。

  • 【1】日本薬局方及びその解説に関するもの
    書籍を買うと高いためインターネットでの保存がオススメ
  • 【2】薬事関係法規に関するもの
    薬事衛生六法2020など
  • 【3】調剤技術等に関するもの
    第十四改訂調剤指針など
  • 【4】医薬品の添付文書に関するもの
    インターネットからの印刷でも可能のため添付文書検索のURLをお気に入りやデスクトップに貼り付けておく

【1】の日本薬局方についての書籍は購入すると数万円して高い上に、通常の薬局業務ではほとんど使用する機会がありませんので、下記のページをインターネットから印刷できる体制をとっておけば十分だと考えています。

第十七改正日本薬局方(PMDAのホームページ)
https://www.pmda.go.jp/rs-std-jp/standards-development/jp/0013.html

薬事衛生関連、調剤指針の書籍についてはそれぞれ5000円程度で入手可能ですので、インターネット上での資料の閲覧が難しいため購入しておいてもよいかと考えています。

立会検査に必要なその他

指針業務手順書を印刷してファイルに閉じておく必要があります。

私は鹿児島県薬剤師会様のホームページを参考に作成しました。

掲示物は、

  • 【1】薬局の管理及び運営に関する事項(管理者名、勤務薬剤師名、営業時間などが記載されたもの)
  • 【2】要指導医薬品及び一般用医薬品の販売制度(販売する場合)

については保健所の立会検査時に掲示が必要となります。

私はキユシトさんの、
【令和2年改定版】薬局掲示物一覧
を活用させていただいております。
保険薬局として運営していく際もその他多くの掲示物が必要となりますので、キユシトさんのサイトを参考にすることをオススメします!!

薬局の内装工事については、基本的には立会検査までに終了しておく必要がありますが、
待合室や休憩室に設置する家具類などは立ち入り検査後の購入でも問題ないでしょう。

また看板については、外から「薬局」とわかることが薬局開設許可の条件となりますので、最低限の薬局とわかる看板工事は立会検査までに済ませておくのがよいでしょう。

また調剤室内の冷蔵庫内に「温度がわかるかどうか?」も指摘された経験があることから、百円均一などで購入した温度計を冷蔵庫に入れて対応しています。また冷蔵庫内に毒薬を保管する場合は施錠ができるものが必要となります。

備品は平成27年に見直された

備品については、平成27年に大幅に見直され揃える品目が減少しています。

薬局開設申請に必要な器具・備品(ピペット台やロート台)の見直しが行われる??規則第1条第 13 号の改定

しかし現時点でも「水浴」や「ロート」「メスピペット」は使用しない薬局が多いかと思いますので、まだまだ見直しの余地はありそうです。

保健所へは事前相談に行くことをオススメします

薬局の開設が決まったら、レイアウトを作成する際など、事前に保健所(薬務課)に相談にいき、
工事を進めて問題ないか、事前確認することをオススメします。

その際に、立会時に必要な備品や書籍についても確認するようにしましょう。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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