処方日数制限がある医薬品一覧【新薬】

この記事を書いた人

杉本進悟(すぎもとしんご)

Chloe Pharmacy 株式会社
高知県出身
研修認定薬剤師
AEAJアロマテラピー検定1級

「この薬いつまで14日制限だっけ?」

新薬を調剤するときに疑問に思うことはありませんか?
新薬は通常14日間の処方日数制限がつきます。
添付文書などに記載されていればよいのですがされていません。
薬価収載日すらも記載されていない場合があります。

この記事では制限解除のスケジュール、処方日数制限の根拠についてまとめました。

 

目次

新薬処方日数制限解除予定スケジュール一覧

直近1年間で処方日数制限解除となった医薬品一覧

新薬の処方日数制限とは

14日を超えて処方できるケース

新薬処方日数制限の根拠

処方日数制限の例外となる医薬品

新薬以外の処方日数制限

おわりに

新薬処方日数制限解除予定スケジュール一覧

2024年7月現在処方日数制限がある医薬品の一覧です。

薬品名 一般名 解除予定日
シュンレンカ錠300mg レナカパビルナトリウム 2024年9月1日
シュンレンカ皮下注463.5mg レナカパビルナトリウム 2024年9月1日
コレチメント錠9mg ブデソニド 2024年9月1日
リットフーロカプセル50mg リトレシチニブトシル酸塩 2024年9月1日
リトゴビ錠4mg フチバチニブ 2024年9月1日
エムパベリ皮下注1080mg ペグセタコプラン 2024年9月1日
アクトヒブ 乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体) 2024年9月1日
ルクスターナ注 ボレチゲンネパルボベク 2024年9月1日
フォゼベル錠5mg/10mg/20mg/30mg テナパノル塩酸塩 2024年12月1日
レクビオ皮下注300mgシリンジ インクリシランナトリウム 2024年12月1日
ウゴービ皮下注0.25mg/0.5mg/1.0mg/1.7mg2.4mgSD セマグルチド(遺伝子組換え) 2024年12月1日
ジルビスク皮下注16.6mg/23.0mg/32.4mgシリンジ ジルコプランナトリウム 2024年12月1日
エプキンリ皮下注4mg/48mg エプコリタマブ(遺伝子組換え) 2024年12月1日
フェスゴ配合皮下注MA/IN ペルツズマブ(遺伝子組換え)・トラスツズマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え) 2024年12月1日
デュピクセント皮下注200mgシリンジ デュピルマブ(遺伝子組換え) 制限なし
アレモ皮下注15mg/60mg/150mg コンシズマブ(遺伝子組換え) 2024年12月1日
キュービトル20%皮下注2g/10mL 4g/20mL 8g/40mL pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射) 2024年12月1日
リスティーゴ皮下注280mg ロザノリキシズマブ(遺伝子組換え) 2024年12月1日
ゾキンヴィカプセル50mg/75mg ロナファルニブ 制限なし
ボイデヤ錠50mg ダニコパン 2025年5月1日
ターゼナカプセル0.1mg/0.25mg/1mg タラゾパリブトシル酸塩 2025年5月1日
ラパリムス顆粒0.2% シロリムス 制限なし
レブロジル皮下注用25㎎ ルスパテルセ プト(遺伝子組換え) 2025年5月1日
イブグリース皮下注250㎎オートインジェクター/シリンジ レブリキズマブ(遺伝子組換え) 2025年5月1日
ヒフデュラ配合皮下注 エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え) 2025年5月1日
エンレスト粒状錠小児用12.5mg /31.25mg サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物 制限なし
オルミエント錠1mg バリシチニブ 制限なし
レズロック錠200mg ベルモスジルメシル酸塩 2025年6月1日
トルカプ錠160mg /200mg カピバセルチブ 2025年6月1日
ファセンラ皮下注10mgシリンジ ベンラリズマブ(遺伝子組換え) 2025年6月1日
エルレフィオ皮下注44mg /76mg エルラナタマブ(遺伝子組換え) 2025年6月1日
ミチーガ皮下注用30mgバイアル ネモリズマブ(遺伝子組換え) 2025年6月1日
シスタドロップス点眼液0.38% システアミン塩酸塩 2025年6月1日
サルグマリン吸入用250μg サルグラモスチム(遺伝子組換え) 2025年6月1日

直近1年間で処方日数制限解除となった医薬品一覧

2023年7月-2024年6月の間に処方日数制限が解除となった 医薬品の一覧です。

薬品名 一般名 解除日
レイボー錠50mg/100mg ラスミジタン コハク酸塩 2023年5月1日
リフヌア錠45mg ゲーファピキ サントクエン 酸塩 2023年5月1日
ルマケラス錠120mg ソトラシブ 2023年5月1日
エヌジェンラ皮下注24mg ペン/60mgペン ソムアトロゴ ン(遺伝子組 換え) 2023年5月1日
ビンゼレックス皮下注 160mgオートインジェク ター/シリンジ ビメキズマブ (遺伝子組換 え) 2023年5月1日
ラピフォートワイプ2.5% グリコピロニ ウムトシル酸 塩水和物 2023年5月1日
ジスバルカプセル40mg バルベナジン トシル酸塩 2023年6月1日
ケレンディア錠10mg /20mg フィネレノン 2023年6月1日
カログラ錠120mg カロテグラス トメチル 2023年6月1日
タブネオスカプセル10mg アバコパン 2023年6月1日
セムブリックス錠20mg/40mg アシミニブ塩酸塩 2023年6月1日
モイゼルト軟膏0.3%/1% ジファミラスト 2023年6月1日
エパデールEMカプセル2g イコサペント酸エチル 2023年9月1日
イグザレルト錠2.5mg リバーロキサバン 2023年9月1日
ジェセリ錠40mg ピミテスピブ 2023年9月1日
フィンテプラ内用液2.2mg/mL フェンフルラミン塩酸塩 2023年12月1日
リバゼブ配合錠LD/HD ピタバスタチンカルシウム水和物/エゼチミブ 制限なし
ソーティクツ錠6mg デュークラバシチニブ 2023年12月1日
エザルミア錠50mg バレメトスタットトシル酸塩 2023年12月1日
コセルゴカプセル10mg/25mg(28日制限) セルメチニブ硫酸塩 2023年12月1日
オスタバロ皮下注カートリッジ1.5mg アバロパラチド酢酸塩 2023年12月1日
ベリナート皮下注用2000 乾燥濃縮人C1インアクチベーター 2023年12月1日
グラアルファ配合点眼液 リパスジル塩酸塩水和物/ブリモニジン酒石酸塩 制限なし
タバリス錠100mg/150mg ホスタマチニブナトリウム水和物 2024年4月1日
クレセンバカプセル100mg イサブコナゾニウム硫酸塩 2024年4月1日
マンジャロ皮下注2.5mg/5mg/7.5mg/10mg/15mg チルゼパチド 2024年4月1日
アドトラーザ皮下注 トラロキヌマブ(遺伝子組換え) 2024年4月1日
アリドネパッチ27.5mg55mg ドネペジル 2024年4月1日
トレプロスト吸入液1.74mg トレプロスチニル 2024年4月1日
ゾコーバ錠125mg エンシトレルビル フマル酸 2024年4月1日
ドプテレット錠20mg アバトロンボパグマレイン酸塩 2024年6月1日
オファコルカプセル50mg コール酸 2024年6月1日
ヴィアレブ配合持続皮下注 ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物 2024年6月1日
エンタイビオ皮下注108mgペン/シリンジ ベドリズマブ(遺伝子組換え) 2024年6月1日
オンボー点滴静注300mg ミリキズマブ(遺伝子組換え) 2024年6月1日
オンボー皮下注100mgオートインジェクター/シリンジ ミリキズマブ(遺伝子組換え) 2024年6月1日
パリンジック皮下注2.5mg/10mg/20mg ペグバリアーゼ(遺伝子組換え) 2024年6月1日
ベスレミ皮下注250µgシリンジ/500μg ロペグイン ターフェロン アルファ2b (遺伝子組換 え) 2024年6月1日
アトガム点滴静注液250mg 抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン 2024年6月1日
アポハイドローション20% オキシブチニン塩酸塩 2024年6月1日
コムレクス耳科用液1.5% レボフロキサシン水和物 2024年6月1日
ネキソブリッド外用ゲル5g パイナップル茎搾汁精製物 2024年6月1日

新薬の処方日数制限とは

通常、新規薬価収載された医薬品は薬価収載から1年間は14日間の処方日数制限がつきます。

そのため1回の処方では14日分しか処方することができません。
基準となる日は承認日や発売日と混同しやすいですが薬価収載日が基準となります。

14日を超えて処方できるケース

・ゴールデンウイーク、年末年始のため受診ができない場合
・海外への渡航など長期で受診ができない状況

このような場合は14日分を超えて処方することができますが、30日を超える事はできません。

参考
ゴールデンウイーク(GW)に重なる場合14日制限の薬を長期処方できる?

新薬処方日数制限の根拠

投薬期間に上限が設けられている医薬品
(一)療担規則第二十条第二号ヘ及びト並びに第二十一条第二号ヘ並びに療担基準第二十条第三号ヘ及びト並びに第二十一条第三号ヘの厚生労働大臣が定める投薬量又は投与量が十四日分を限度とさる内服薬及び外用薬並びに注射薬
イ・ロ(略)
ハ新医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の四第一項第一号に規定する新医薬品をいう。)であって使用薬剤の薬価(薬価基準)への収載の日の属する月の翌月の初日から起算して一年(厚生労働大臣が指定するものにあっては、厚生労働大臣が指定する期間)を経過していないもの(次に掲げるものを除く。)

新薬については薬価収載された日の翌月1日から1年間は14日分を限度とすると記載があります。つまり薬価収載された日の1年後の翌月1日に処方日数制限が解除されます。

処方日数制限の例外となる医薬品

新医薬品については、薬価基準収載の翌月の初日から1年間は、 原則、1回14日分を限度として投与することとされているところである。 しかしながら、当該処方日数制限を行うことが不合理と考えられる下記 のような場合は例外的な取扱いとする。
① 同様の効能・効果、用法・用量の既収載品の組合せと考えられる新 医療用配合剤など、有効成分にかかる効能・効果、用法・用量につ いて、実質的に、既収載品によって1年以上の臨床使用経験がある と認められる新医薬品については、新医薬品に係る処方日数制限を 設けないこととする。
② 疾患の特性や、含有量が14日分を超える製剤のみが存在している といった製剤上の特性から、1回の投薬期間が14日を超えることに合理性があり、かつ、投与初期から14日を超える投薬における安全性 が確認されている新医薬品については、薬価基準収載の翌月から1 年間は、処方日数制限を、製剤の用法・用量から得られる最少日数に 応じた日数とする。

・配合剤など実質的に既収載品であるもの
・HIVなど疾患的特性から全例調査がされるような薬剤。
・低用量ピルや月1回服用のビスホスホネート製剤など14日を超えることに合理性があり、14日を超える投薬の安全性が確認されている医薬品。

これらの医薬品は最初から14日制限の対象外となることがあります。
ただし30日制限となることがありますので注意が必要です。
注射薬や抗がん剤、インフルエンザ治療薬のように用法や適用などからそもそも14日を超えて処方しない医薬品もありますがこの記事では除外していません。

新薬以外の処方日数制限

向精神薬や医療用麻薬など新規収載医薬品以外の処方日数制限については、こちらの記事に記載されています。

処方日数制限がある医薬品一覧【麻薬・向精神薬】

おわりに

新規収載医薬品は今までに無かった治療法、今までより良い治療法であることが多いです。
私も新薬発売情報を見ると自分の患者さんに使えそうと飛びつきそうになることがあります。

一方で発売後1年以内に新たな副作用が報告された例も多くあります。
14日制限があるからと14日間は安全に使用できると考えず、きちんと安全性と薬効を評価しながら使用することを心がけましょう。

参考

厚生労働省告示第四十二号(平成30年3月5日)
新医薬品の処方日数制限の取扱いについて (平成22年10月27日 中医協了承)

この記事を書いた人

杉本進悟(すぎもとしんご)

Chloe Pharmacy 株式会社
高知県出身
研修認定薬剤師
AEAJアロマテラピー検定1級

調剤薬局での外来業務と往診同行にて医師と一緒に処方検討をすることを主に行っています。
日々の業務の中で気になったことや他の薬剤師さんにも役立ちそうだと思ったことをわかりやすく伝えるよう心がけています。

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