2020年8月31日に薬剤師法・医薬品医療機器等法が改正され
「調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」
という一言が追加され、薬剤師に継続的な薬学管理(フォローアップ)の義務が規定されました。
私の勤務する薬局では、2020年9月から、必要があると認める患者さんに対し、主に電話によるフォローアップを月に10件前後行っています。
フォローアップの指針については日本薬剤師会から「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」が発行されており、基本的にはこの内容に従い行えば良いと考えます。
参考サイト:日本薬剤師会 「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」
なお今回の記事は、当薬局で取り組んだ方法の紹介であり、これからフォローアップを積極的に行いたいが、アプローチがわからないといった方の参考にしていただけばと思い作成しました。
当薬局では、慢性疾患の治療薬が新規処方となった際に積極的にフォローアップの約束をしています。
また、コロナウイルス禍では処方日数が長期化傾向にあるため、継続服用中の患者さんに、1ヶ月後にフォローアップを行った例もありました。
急性疾患患者は基本的に通院間隔が短く、フォローアップの必要性が低いと思いますが、副作用などが不安な患者さんにはフォローアップを行うなど、臨機応変に行うことも必要と考えます。
患者さんが自宅で得られる情報の範囲内で確認を行い、薬剤の効果が十分に認められない場合、患者さんに同意を得て医師へ情報提供を行う場合もあります(服薬情報等提供料2)。
例)睡眠薬による睡眠状況の変化、降圧薬服用後の血圧変化等
特徴的な副作用、重篤な副作用を中心に実施し、機序的に起こりやすいタイミングで実施しています。
例えば服用開始数日後より嘔気が現れやすいサインバルタなどは、3日後程度にフォローアップを行い、当該症状が現れている場合は再度1〜2週間後程度に再度フォローアップを行うこととしています。
フォローアップを実施した場合に①や②と併せて確認を行なっています。
特にこれまで薬を服用していなかった患者さんは、服薬習慣がなくアドヒアランスが低下しやすいことが考えられるため、非常に重要と考えています。また、②にも関連しますが、副作用により自己判断での服薬中止となる可能性もあるため、その確認という意味でも必要な確認事項と思います。
「服用していてなにか気になることはありませんでしたか」とオープンクエスチョンを用いて確認し、服薬中の問題点がないか確認しています。
日本薬剤師会の指針によると、「SOAP 形式だと記載内容が全体として⻑くなったり、SOAPにこだわるあまり、記録に残しておくべき要点がかえってわかりにくくなったりすることがあるので、必ずしもSOAP 形式にこだわることなく、記録しておくべき要点が何かを意識すること。」との記載があり、要点のみ記載すれば問題ないと考えます。
基本的に患者さんは好意的に感じていただけているようであり、クレームや拒否「親切にしてくださってありがとう」などのご意見を頂くこともしばしばありました。
なお、意外にも慢性疾患治療薬の新規処方患者にフォローアップを断られることはありませんでした。
また、処方箋応需時の服薬指導で十分に時間がとれないこともありますが、情報等十分な指導の用意ができた後に行うことができるフォローアップは、薬剤師の専門性を十分に発揮でき、かつ、患者さんからの信頼を得られる格好の機会と考えるようになりました。
最後に、義務化されたからといってただフォローアップするのではなく、あくまでも患者のためによりよい医療を提供することを目的として実施することが重要と考えています。
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