処方箋の有効期限・期限切れは疑義照会で延長可能?

この記事を書いた人

寺本 卓矢(てらもと たくや)

【所属】
いちょう薬局株式会社 経営戦略本部人材採用担当
シナジーファルマ株式会社 法人営業部関東ブロック統括
株式会社PHAIND 執行役員
【資格】
日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
【出身大学】
日本薬科大学 薬学部 卒業

薬局で期限切れの処方箋を受け付けたとき、どのように対応しますでしょうか?

  1. 処方箋発行元の医療機関に疑義照会をして期限延長をお願いする
  2. 患者さんに再度医療機関に行ってもらい処方箋の再発行をしてもらう
  3. 患者さんに再度医療機関に行ってもらい処方箋の使用期限を延長してもらう

この中で、「1」の薬局から電話などの疑義照会で処方箋の期間延長は認められません。

以前は薬局からの電話で処方箋の期限延長ができたようですが、現在は「不可」となっています。

これは現役で薬剤師として働かれている方からすると当たり前のことだと思います。
しかし学生実習で指導する中で、意外と知らない薬学生がいたので取り上げたいと思います。

処方箋の期限の記載項目

処方箋には

  • 交付年月日
  • 処方箋の使用期間

という項目あります。

交付年月日は必ず記載があります。

処方箋の使用期間とは、処方箋がいつまで有効なのかを示すものです。
しかしこちらは必ず書いてあるわけではありません。
むしろ私がこれまで受けた処方箋では、使用期限の日付を書いていない処方箋の方が圧倒的に多いです。

処方箋の使用期限の欄に、かっこ書きで「特に記載がある場合を除き交付の日を含めて4日以内に保険薬局に提出すること」と書かれています。

仮に6月5日に処方箋交付を受けると6月8日までの期限となります。
土日や祝日、連休を挟んでも4日以内というルールは変わりません。

使用期限の具体的な日付を記載する場合、長期旅行・海外出張等の特殊な事情がある場合は医師の判断で4日以上に延長することも、逆に短くすることもできます。

処方箋の有効期限が4日間の理由

そもそもなぜ処方箋の使用期間は4日なのでしょうか。

医師は診察をし、その時の症状に合わせた適切な薬を処方します。
そして処方箋を発行しますが、時間が経ってしまうと診察した時と症状が変わる可能性があります。

つまり時間が経過すると薬が適切でない可能性がでてきてしまいます。
そのため妥当な日数として交付日含めた4日以内と設定されたのです。

では実際に患者さんが期限切れの処方箋を持って来てしまった場合はどのような対応をするのでしょうか。

患者さんにも理由はあります。

  • 4日以内って知らなかった
  • 仕事が忙しくてこれなかった
  • いつもと同じ薬でまだ家に残っていたから
  • 月曜日が祝日で薬局が閉まっていた

もちろん理由は何であれ処方箋は無効になります。

患者さんにその旨を丁寧に伝えます。
ここで患者さんに言われます。
「何とかならないかな。病院に聞いてみてくれないか?」
さてここでどのような対応をするでしょうか。

結論は
薬局では何もできません

基本的に、

  • 患者さんに再受診をして新たに処方箋を発行してもらう

となります。

再受診の処方箋発行料は「自費扱い」となりますのでお金が発生してしまいます。

  • 患者さんに医療機関に行ってもらい処方箋の使用期間に延長する日付と印鑑を押してもらう

という対応をこっそりされるケースもあるかと思います。
使用期限の延長については余計なお金は発生しませんが、通常は海外旅行や海外出張などの特殊な場合で医師が必要と判断した時のみ認められますし、前もって記載されることが前提ですので、公に「できる」とはいえません。

つまり確実なのは、「処方せんの再発行」での対応となるでしょう。

患者さんの理由を聞くと仕方ないなと思ってしまうところはあります。

ただしきちんと理解をしてもらい再度期限切れになってしまわないように説明をすることも薬剤師としては大切な仕事の1つだと思います。

この記事を書いた人

寺本 卓矢(てらもと たくや)

【所属】
いちょう薬局株式会社 経営戦略本部人材採用担当
シナジーファルマ株式会社 法人営業部関東ブロック統括
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【資格】
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【出身大学】
日本薬科大学 薬学部 卒業

【サイト】

【紹介文】
薬局での薬剤師業務の傍ら新店舗開発や人事採用、人材採用コンサルタント業務を行う。

薬剤師として常に新たなチャレンジをしながら医療業界、特に調剤薬局と薬学生に対して貢献できるよう業務を行う。

現在は新たに薬学生向けコンテンツサイト(薬学ステップ)を開設。

薬学生向けイベント企画運営なども手掛けている。

調剤薬局人材採用アドバイスやイベント企画、お仕事の依頼はこちら
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