処方薬は値下げできない?ポイント値引きは?

この記事を書いた人

杉本進悟(すぎもとしんご)

Chloe Pharmacy 株式会社
高知県出身
研修認定薬剤師
AEAJアロマテラピー検定1級

処方薬の値引きと調剤ポイントについてまとめました。

ある程度経験を積んでいる薬剤師さんでしたら調剤ポイントが2010年~2012年にかけて問題になったことを覚えていらっしゃる方も多いかと思います。

しばらく時間がたったので改めて現状について整理をしておきたいと思います。

保険調剤とポイント付与の可否

  可否
クレジットカードやICカード等の支払いに伴うポイント付与
ポイント専用のカードによるポイントの付与 △※
ポイントによる調剤自己負担額の軽減 ×

※自己負担額の1%を上限とする。
下記事情により専用ポイントカードに関しては現状クリアとは言えない状況です。

保険調剤は値引き・割引できない

保険調剤は値引き販売をすることができません。
根拠は薬担規則第二条の三第二条の三の二です。(注:2023年2月1日修正しました)

(経済上の利益の提供による誘引の禁止)
第二条の三の二 保険薬局は、患者に対して、第四条の規定により受領する費用の額に応じて当該保険薬局における商品の購入に係る対価の額の値引きをすることその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、当該患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない
2 保険薬局は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない。

引用元 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(薬担規則)

「経済上の利益を供与する」という部分に該当するということで値引き販売をすることができません。

調剤ポイントに関する議論の経緯

「直接処方薬を値引きせず、1回の受付につき50円分や100円分のポイントを付与してOTCなどの割引に使えるようにするのはどうか」ということが冒頭の調剤ポイント問題です。

当時はドラッグストアを中心に処方箋を集めるためにポイント付与が公然とおこなわれていました。

しかし、

  • そもそもポイント付与をするための利益の源泉は診療報酬であること
  • 資本力のある大手のみが金銭的なメリットによって患者を誘引することになってしまうこと

などを理由に大きく問題となりました。

その後議論を経てクレジットカードや電子マネーなど規制することで患者の利便性を損ねてしまう恐れがあるものを除いて原則禁止となりました。

参考:平成23年11月2日 保険薬局等における一部負担金の受領に応じたポイントの付与等について

ここではICカードやクレジットカードでの支払いに付帯するポイントは規制していませんが、ポイント専業会社のカードを用いてポイントを付与することに関しては「ポイントの付与を原則認めない」となっています。

しかしその後ICカードでの支払い等に配慮があったのか自己負担の1%未満であればポイント専用カードに関しても暗黙されている状態が続いていました。(Tポイントなど)

そして平成29年1月25日事務連絡にて

    • 調剤の自己負担減額に用いない
    • 自己負担の1%を超えない
    • 広告を行わない

以上3点の釘差しが行われました。

まとめ

今回は調剤ポイント問題についてまとめました。

議論の中で再三でてきているように、値引きや無料サービスの充実によって選ばれるのではなく提供する医療サービスの質で差別化をできるよう研鑽しましょう。

この記事を書いた人

杉本進悟(すぎもとしんご)

Chloe Pharmacy 株式会社
高知県出身
研修認定薬剤師
AEAJアロマテラピー検定1級

調剤薬局での外来業務と往診同行にて医師と一緒に処方検討をすることを主に行っています。
日々の業務の中で気になったことや他の薬剤師さんにも役立ちそうだと思ったことをわかりやすく伝えるよう心がけています。

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