【前立腺癌治療薬】アパルタミド(アーリーダ)作用機序・調剤・服薬指導のポイント

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

前立腺がんの増殖には男性ホルモン(アンドロゲン)が関与していることから、前立腺癌治療にはアンドロゲンの合成を抑えたり、アンドロゲンの働きを抑える抗アンドロゲン薬が使用されるケースがあります。

「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)」として2019年1月に発売されたのがアパルタミド(商品名:アーリーダ)です。

アパルタミド(商品名:アーリーダ)の作用機序や調剤時、服薬指導でのポイントをまとめました。

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作用機序

  1. アンドロゲン受容体(AR)へのアンドロゲンの結合を競合的に阻害
  2. アンドロゲン受容体(AR)の核内移行を阻害
  3. ARとDNA上の転写因子結合領域との結合を阻害(転写活性を阻害

上記によって、アンドロゲン受容体(AR)を介したシグナル伝達を阻害しアンドロゲン依存性悪性腫瘍の増殖を抑制します。

調剤・服薬指導のポイント

  • 通常は1日1回240mgを経口投与(食事の縛りはなし
  • 主な副作用は、疲労181例(22.5%)皮疹123例(15.3%)甲状腺機能低下症38例(4.7%)そう痒症33例
    (4.1%)体重減少27例(3.4%)(承認時 803例中)
  • 重大な副作用に痙攣発作、心臓障害、重度の皮膚障害
  • Grade3又は4の副作用発現時はGrade1以下又はベースラインに回復するまで休薬する
  • 副作用時の減量 1段階減量:180mg 2段階減量120mg
  • 以下の併用注意の薬剤に気をつける

アパルタミドはCYP2C8、CYP3A及びカルボキシエステラーゼにより代謝のため下記の薬剤と併用でアパルタミドの血中濃度上昇

併用注意の主な薬剤
CYP2C8阻害剤  クロピドグレル
CYP3A阻害剤 イトラコナゾール、リトナビル、クラリスロマイシン

 

アパルタミドはCYP2C9、CYP2C19、CYP3A、P糖蛋白(P-gp)、Breast Cancer Resistance Protein(BCRP)及び有機アニオン輸送ポリペプチド1B1(OATP1B1)を誘導のため下記の薬剤と併用で下記の薬剤の血中濃度上昇

併用注意の主な薬剤
CYP3Aの基質となる薬剤 ミダゾラム、ダルナビル、フェロジピン、シンバスタチン
CYP2C19の基質となる薬剤 オメプラゾール、ジアゼパム、ランソプラゾール等
CYP2C9の基質となる薬剤 ワルファリン、フェニトイン、セレコキシブ等
P-gpの基質となる薬剤 フェキソフェナジン、ダビガトラン、ジゴキシン
BCRP及びOATP1B1の基質となる薬剤 ロスバスタチン、アトルバスタチン等

 

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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