ペフィシチニブ（スマイラフ）作用機序・調剤・服薬指導のポイント

関節リウマチ治療薬では日本で3剤目となるJAK阻害薬、ペフィシチニブ臭化水素酸塩（商品名：スマイラフ錠）が2019年に製造販売承認されました。

関節リウマチではメトトレキサート（商品名：リウマトレックス）などのcsDMARDs（従来型抗リウマチ薬）が第一選択として処方されます。

従来型抗リウマチ薬で効果不十分な場合にbDMARDs（生物学的製剤）の使用が検討され、
bDMARDs（生物学的製剤）で効果不十分な場合や、使用が困難な場合にtsDMARDs(分子標的型抗リウマチ薬）の処方が検討されます。

JAK阻害薬はtsDMARDs（分子標的型抗リウマチ薬）に分類されます。

JAK阻害薬の作用機序や、ペフィシチニブの調剤時、服薬指導時のポイントをまとめました。

ペフィシチニブ作用機序

JAK阻害薬は炎症性サイトカインのシグナル伝達に関わるJAKの働きを阻害することで、関節リウマチの原因となる炎症性サイトカインの異常な産生を抑えます。

より細かいメカニズムについて解説していきます。

免疫細胞の表面に存在するサイトカイン受容体に炎症性サイトカインが結合すると、JAKにATPが結合しシグナル伝達がスタートします。

JAK阻害薬はJAKのATP結合部位に結合することでATPがJAKに結合するのを阻害し、炎症性サイトカインのシグナル伝達をシャットダウンさせるのです。

JAKには下記の4つが存在します。

• JAK1
• JAK2
• JAK3
• tyrosine kinase2（Tyk2）

ペフィシチニブ（商品名：スマイラフ錠）はJAK1、JAK2、JAK3 及び TYK2を阻害し、IL2などのサイトカインのシグナル伝達を阻害。T細胞の増殖やIFN-γ、TNF-α等の関節リウマチの病因に関わる炎症性サイトカインの産生を抑制します。

JAK阻害薬の詳しい作用機序はこちらにまとめています。
JAK阻害薬一覧・作用機序・服薬指導のポイント

調剤時・服薬指導時のポイント

• 好中球数が500/mm³未満、リンパ球数が500/mm³未満、ヘモグロビン値が8g/dL未満は禁忌。
• 好中球が1000/mm³未満では投与しないor休薬するのが望ましく、好中球が1000/mm³を超えてからスタートor再開する。
• 空腹時で吸収が低下するため食後投与。
• 通常用法・用量は150mgを1日1回食後。状態に合わせて100mgを1日1回食後に減量することあり。
• 中等度の肝障害がある場合は血中濃度が高くなる可能性があるので1日1回50mgにする。
• 特にメトトレキサートとの併用時は肝障害に注意する。
• 主な副作用は、上咽頭炎 28.1％、帯状疱疹12.9％、血中CK増加9.3％（後期第Ⅱ相試験［CL-RAJ1］、第Ⅲ相試［CL-RAJ3、CL-RAJ4］及び継続投与試験［CL-RAJ2］の4試験の臨床試験成績1052例中）
• 持続する咳、発熱などがあらわれたら早めに主治医に相談する。
• 痛みを伴う水疱（帯状疱疹）の症状があれば早めに主治医に相談する。
• 消化管穿孔（激しい腹痛、腹痛が続く）ヘモグロビン減少（息切れ、めまい）肝機能障害（倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸）横紋筋融解症、ミオパチー（手足や全身の筋肉痛、しびれ、尿の色が赤褐色になる）があれば主治医に相談。
• 妊娠希望の場合は服用終了後から少なくとも1月経周期はあける。
• 投与中の生ワクチンの接種は避ける。