【JAK阻害薬】ウパダシチニブ(リンヴォック)調剤・服薬指導のポイント

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

関節リウマチ治療薬では日本で4剤目となるJAK阻害薬、ウパダシチニブ水和物(商品名:リンヴォック錠)が2020年に製造販売承認されました。

関節リウマチではメトトレキサート(商品名:リウマトレックス)などのcsDMARDs(従来型抗リウマチ薬)が第一選択として処方されます。

従来型抗リウマチ薬で効果不十分な場合にbDMARDs(生物学的製剤)の使用が検討され、
bDMARDs(生物学的製剤)で効果不十分な場合や、使用が困難な場合にtsDMARDs(分子標的型抗リウマチ薬)の処方が検討されます。

JAK阻害薬はtsDMARDs(分子標的型抗リウマチ薬)に分類されます。

JAK阻害薬の作用機序や、ウパダシチニブの調剤時、服薬指導時のポイントをまとめました。

作用機序

JAK(ヤヌスキナーゼ)は関節リウマチに関わる炎症性サイトカイン(ILやIFNなど)の細胞内シグナル伝達分子です。

JAKファミリーにはJAK1、JAK2、JAK3、TYK2がありますが、ウパダシチニブ(リンヴォック)はJAK1を選択的に阻害しインターロイキン(IL)やインターフェロン(IFN)といった炎症性サイトカインの異常な産生を抑えます。

JAK阻害薬の詳しい作用機序はこちらにまとめています。
JAK阻害薬一覧・作用機序・服薬指導のポイント

調剤時・服薬指導でのポイント

  • 通常用量は1回15mg1日1回経口投与(食後の縛りなし)
  • 「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」が適応のため第一選択薬としては使用されない
  • 感染症リスク増加のため他のJAK阻害薬、抗リウマチ生物学的製剤、タクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビン等のような免疫抑制剤(局所製剤以外)等との併用は避ける
  • CYP3Aを強く阻害する薬剤と併用注意
    イトラコナゾール、リトナビル、クラリスロマイシンなど
  • CYP3Aを強く誘導する薬剤と併用注意
    リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
  • 徐放性製剤のため粉砕不可
  • 免疫反応を減弱させるため咳・発熱などの感染症発現に注意する
  • 帯状疱疹があれば受診勧告

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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