こんにちは。
薬剤師ライターのJです。
少し特殊な条件下で起きたクレームの話を書きたいと思います。
今回の話のような事態になることはあまりないとは思いますが、この記事を見ていただいた方に情報伝達の大切さが伝わっていただければと思います。
ある日のことです、患者さんからクレームの電話がかかってきました。
いつもの薬と違う、いったいどうなっているんだ!
患者さんはかなり怒っているようでしたが、事実確認のためにしばらく待っていただきました。
そして、その患者さんの薬歴を見て処方を確認しました。
以下処方と薬歴の内容です。
今日の処方
サイレース錠1mg 1T
就寝前 28日分
前回の処方
サイレース錠1mg 1T
就寝前 28日分
薬歴
前回Do処方、特に体調に変化なく眠れているようなので継続するよう指導。
といった内容でした。
さて、処方内容と入力には間違いがなかったので、もしかすると薬そのものを間違えて渡してしまったかなと思いました。
そこで薬の見た目について患者さんに確認してもらいました。
申し訳ございません。
確認していただきたいのですが、その薬のヒートにサイレース1mgって書いてありませんか?
そんなものは書いてない!
青い錠剤が入っている!いつものは白い錠剤だ!
患者さんはかなり興奮していましたが、重要な情報が聞き取れました。
青い錠剤と白い錠剤です。
おそらくサイレースを以前から取り扱っている薬剤師の方はすでにお判りだと思います。
サイレースは数年前までは白い錠剤だったのですが、水に溶かすと無色透明でただの水と見分けがつかないことから犯罪に使われてしまうケースが報告されました。
そこで犯罪防止のために錠剤の色を白から青に変えることで、見分けがつくようにしたのです。
今回のクレームは錠剤の色が変更になったことを投薬時に患者さんに伝えなかったために起きてしまいました。
しかしまだ一つ分からないことがあります。
ヒートにサイレースという文字が書いてないということです。
ヒートにはしっかり書いてあるはずなので再度患者さんに伝えましたが、そんなものは書いてないとのことでした
うーん、これは困ったなと思っていたら、調剤事務さんから衝撃の一言がありました。
その患者さんサイレース半錠の人じゃないですか?
どうやら患者さんの希望で量調節のために毎回半錠にしてお渡ししているようです。
あー、それは確かにサイレースなんて書いてないよね…
薬歴に毎回半錠にして渡していることが書いてあればすぐ解決できたのに…
その後、患者さんに色の変更があっただけで問題ないことを伝えましたが、患者さんは納得できず、結局薬局まで来てもらうことになり、改めて錠剤変更のお知らせとサイレース錠1mgのヒートを見せて納得してもらいました。
ということで今回の話は終わりになります。
いかがでしたでしょうか。
錠剤変更のお知らせを投薬時に伝えていればそもそもクレームの電話はなかったです。
薬歴に半錠にしてお渡ししていることが書いてあればクレーム解決の時間が短縮されました。
どちらも時間にして数秒で済む話が、それを怠ったために30分程度かかるクレーム騒動に発展してしまいました。
患者さんに迷惑をかけたこと、業務効率が悪くなったこと、二重の損害ですね。
もしこの記事を見て情報伝達がしっかりできてないなと思った方がいましたら、今後は情報伝達をしっかりしようと心がけていただけると幸いです。
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