6ヶ月に1回で効果を発揮する骨粗鬆症治療薬にRANKL(読み方:ランクル)阻害剤があります。
RANKL阻害剤は破骨細胞の形成を抑えることで骨粗鬆症を改善します。
半年に1回でOKなこと、ガイドラインでの評価が高いことから、BP製剤で頭打ちになっている患者さんへの選択肢として注目の高い薬剤です。
RANKL阻害薬について作用機序、有効性についてまとめてみました。
RANKLとは、
receptor activator for nuclear factor-kappaB ligand
の頭文字をとったものです。
RANKLはRANKリガンドとも呼ばれ膜結合型もしくは可溶型として存在します。
RANKLは破骨細胞や、破骨細胞の前駆細胞の表面に発現するRANKを介して、破骨細胞の形成や機能、生存を調整する骨吸収に欠かせない存在とされています。
骨粗鬆症の状態ではRANKLの増加が見られます。
RANKL阻害剤はRANKLを特異的に阻害し破骨細胞の形成を抑えることで骨吸収を抑制します。
2017年現在、日本で上市されているRANKL阻害薬はデノスマブ(遺伝子組換え)のみとなります。
一般名 | 商品名 用法 |
デノスマブ (遺伝子組換え) |
プラリア皮下注60mgシリンジ 6ヶ月に1回 |
プラリア皮下注60mgは2017年7月に「関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制」の効能・効果を取得しています。
デノスマブはランマーク皮下注120mgという薬剤名で「多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変」「骨巨細胞腫」の治療薬としても販売されています。
原発性骨粗鬆症患者を対象とした 2 年間の第Ⅲ相二重盲検試験において、2 年間投与によるデノスマブ群の腰椎(L1-L4)、大腿骨近位部、大腿骨頸部及び橈骨遠位端 1/3 の骨密度変化率のプラセボとの差は、 それぞれ 9.0%、5.7%、5.1%及び 2.3%であった
引用元 プラリアインタビューフォーム
プラリアの国内第III相臨床試験によると2年間投与した場合のプラセボとの比較で、椎体骨折の減少率が66%、新規椎体骨折の減少率が74%、非椎体骨折の減少率が57%となっています。
デノスマブと併用注意薬、併用禁忌薬はありません。
骨粗鬆症患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験において、総症例881例中159例(18.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主なものは、低カルシウム血症7例(0.8%)背部痛7例(0.8%)γ-GTP上昇7例(0.8%)高血圧7例(0.8%)湿疹6例(0.7%)関節痛5例(0.6%)等であった。
副作用の頻度は高くないですが特に投与開始後の血清Caの変化を観察しなければいけません。
薬局では他の定期薬を取りに来られる際は、「手足のふるえ、筋肉の脱力感、けいれん、しびれ」の有無を確認し、症状があれば受診するよう指導。
院内製剤のため、薬局で処方することはありませんが、血清カルシウムが低下するリスクがあることを頭に入れておく必要があります。
低カルシウム血症の治療および予防に、天然型ビタミンD3製剤であるデノタスチュアブル配合錠が併用されることがあります。
デノタスチュアブル配合錠はRANKL阻害剤投与下でしか保険がとおりませんので、薬局では併用されているかチェックしなければいけません。
頻度は0.1%と高くはないですが、顎骨壊死が報告されていますので、歯の治療の際は併用薬を伝えるように指導しましょう。
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