ビスホスホネート(BP)一覧・作用機序・服薬指導のポイント(内服・注射)

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

骨粗鬆症に適応のあるビスホスホネート製剤は下記の6成分の商品が存在します。

  • 第一世代
    エチドロン酸(商品名:ダイドロネル
  • 第二世代
    アレンドロン酸(商品名:ボナロンフォサマック
    イバンドロン酸(商品名:ボンビバ
  • 第三世代
    リセドロン酸(商品名:アクトネルベネット
    ミノドロン酸(商品名:ボノテオリカルボン
    ゾレドロン酸(商品名:リクラスト

それぞれの薬剤について内服、注射などの一覧、有効性、服薬指導のポイントをまとめてみました。

ビスホスホネート製剤(内服・注射)・剤形一覧

一般名 先発品名(用法)
エチドロン酸ナトリウム ダイドロネル錠200mg(毎日
アレンドロン酸ナトリウム ボナロン錠5mg(毎日)35mg(週1
ボナロン経口ゼリー35mg(週1
ボナロン点滴静注バッグ900㎍(4週1
フォサマック錠5mg(毎日)35mg(週1
リセドロン酸ナトリウム アクトネル錠2.5mg(毎日)17.5mg(週1)75mg(月1
ベネット錠2.5mg(毎日)17.5mg(週1)75mg(月1
ミノドロン酸水和物 ボノテオ錠1mg(毎日)50mg(4週1
リカルボン錠1mg(毎日)50mg(4週1
イバンドロン酸ナトリウム水和物 ボンビバ錠100mg(月1
ボンビバ静注1mgシリンジ(月1
ゾレドロン酸水和物 リクラスト点滴静注液5mg(年1

 

作用機序

ビスホスホネート製剤は破骨細胞に取り込まれ、破骨細胞のアポトーシスを誘導することで骨吸収を抑え、骨密度を増加させます。

具体的には下記のように作用すると考えられています。

BP製剤が骨表面(ハイドロキシアパタイト)吸着される

破骨細胞が骨吸収を行う際に酸を分泌(pHが低下)

pHが低下することで骨表面に吸着したBP製剤が破骨細胞内に取り込まれる

破骨細胞内でファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)を阻害

FPPSの阻害によってメバロン酸経路が遮断

破骨細胞の機能不全がおこる(アポトーシス

ビスホスホネート作用機序

またFPPSの阻害によって蓄積されたイソペンテニルピロリン酸(IPP)が代謝されることで破骨細胞のアポトーシスを誘導する働きもあります。

服薬指導の注意点

飲み方・飲み忘れ時の対応

  • 起床時にコップ1杯(180ml以上)の水で服用
  • Ca、Mg等の含有量が高いミネラルウォーターでの服用は避ける
  • 咽頭や食道への粘膜への刺激を避けるため服用後30分間は横にならず、何も食べない(ボンビバは60分間)
  • 噛んだり、口の中で溶かさない
  • 週1回製剤は通常飲み忘れた場合は翌日1回分服用。次回は決められた時点で服用
  • 週1回、月1回製剤は服用・使用曜日を薬歴に残しておかなければ個別指導で指摘されます

顎骨壊死を防ぐ

  • 顎骨壊死を防ぐために歯科治療の際は予め併用薬を伝えるよう指導
  • 日頃から口腔内を清潔に保ち、定期的な歯科検査を受けるよう指導

顎骨壊死については薬剤情報提供文書薬情)に記載がないと薬学管理料返還の対象となる可能性があります。

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転倒による骨折を防ぐ

  • 転倒リスクに注意
  • 併用薬によるリスク(抗不安薬、睡眠導入剤、降圧剤、抗パーキンソン病薬)
  • 疾患によるリスク(パーキンソン病、白内障)

特に注意が必要な副作用と症状

  • 大腿骨非定型骨折(太ももの付け根の痛み)※長期服用の場合
  • 外耳道骨壊死(耳の痒み、違和感)
  • 上部消化管障害(胸焼け、嘔吐、吐血、みぞおちの痛み)

日常生活の注意点

  • 適度な運動(散歩、階段の昇り降り)
  • 生体内のビタミンDを作るためにも適度に紫外線を浴びる
    (冬場は30~60分程度、夏場は30分程度でOK)

骨を強くする食品を摂取

Ca(カルシウム)を多く含む食品(推奨摂取量700〜800mg)
・牛乳、ヨーグルト、チーズ、納豆、ひじき、小松菜、モロヘイヤ、油揚げ

ビタミンDを多く含む食品(推奨摂取量10〜20μg)
・サケ、サンマ、カレイ、うなぎの蒲焼、しらす、シイタケ

ビタミンKを多く含む食品(推奨摂取量250〜300μg)
・納豆、ほうれん草、ブロッコリー、ニラ、小松菜

※カフェインを多く含む飲料(コーヒー・紅茶など)、アルコール、スナック菓子、インスタント食品は避ける

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

薬局薬剤師としては、新規開業、継承に携わった経験、管理薬剤師としての経験を活かし、現在福岡県内でティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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