こんにちは。
薬剤師ライターのJです。
今回は同じ成分なのにジェネリック変更ができない沈降炭酸カルシウム錠についての話です。
私が以前に勤めていた薬局では、薬の不足で患者さんに迷惑をかけないよう、近隣の薬局と薬の小分けをスムーズに行えるようにするため、ジェネリックのメーカーをなるべく揃えていました。
そのためには各薬局の在庫しているジェネリック医薬品リストを作成し、採用しているジェネリックにずれがないか照らし合わせる必要がありました。
そのジェネリック医薬品リストを作成していたのが私だったのですが、ほかの薬局の管理薬剤師さんにリストを渡してしばらく経過したところ、その管理薬剤師さんが薬局に訪れて言いました。
えっ!?そうなんですか!
自分の知識のなさが恥ずかしくなりました。
カルタン錠、炭カル錠の成分は沈降炭酸カルシウムです。
炭カル錠はジェネリック医薬品扱いとなり、カルタン錠より薬価が安いです。
ではなぜ炭カル錠がカルタン錠のジェネリック医薬品ではないのかというと、
「適応症が違うから」です。
まずはカルタン錠の添付文書の効能・効果をご覧ください。
【カルタン錠 効能・効果】
下記患者における高リン血症の改善
保存期及び透析中の慢性腎不全患者引用元 カルタン錠添付文書
カルタン錠は慢性腎不全患者の高リン血症の改善に使いますね。
一方、炭カル錠「旭化成」の添付文書です。
【炭カル錠 効能・効果】
下記疾患における制酸作用と症状の改善
胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)引用元 炭カル錠 「旭化成」添付文書
炭カル錠は胃・十二指腸潰瘍や胃炎に使います。
ということで同じ成分なのに適応が全然違いますね。
ではカルタン錠のジェネリックはないのかというと、ちゃんとあります。
です。
ちなみにカルタンOD錠は2018年時点ではジェネリック医薬品はありません。
カルタン錠の一般名は
【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg(高リン血症用)
といった表記です。
一方炭カル錠の一般名は
【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg(制酸剤)
といった表記で区別されます。
適応を知っていれば間違えないように表記は工夫されていますね。
カルタンは食物由来のリンを吸着するために1日3回食直後の用法になっており、炭カルは1日3~4回と食事と関係なく服用できるので、分かっている人は用法を見ても見分けがつきます。
しかし、どちらか一つしか在庫していないと薬局だと、うっかり間違えた方を調剤してしまうところです。
一般名処方が普及され、大半のジェネリックは名前だけ知っていれば簡単に調剤できるようになってきましたが、効能効果を理解していないと沈降炭酸カルシウムのような落とし穴があるのでしっかり添付文書等で勉強する必要があります。
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