血液透析患者さんの7割近くの方が皮膚の痒みに悩まされているといわれます。
血液透析患者さんの皮膚の痒みは乾燥などによる末梢性の痒みと、中枢性の痒みに分類されます。
中枢性の痒みについてはオピオイド受容体が関与していると考えられています。
透析患者さんの中枢性の皮膚の痒みに処方されるのが、ナルフラフィン(商品名:レミッチ・ノピコール)です。
一般名 | 商品名 | 規格 |
---|---|---|
ナルフラフィン塩酸塩 | レミッチ | カプセル2.5μg OD錠2.5μg |
ノピコール | カプセル2.5μg |
血液透析患者さんの中枢性による皮膚の痒みは、内因性オピオイド(特にβ-エンドルフィン)の分泌増加によってオピオイドμ(ミュー)受容体が刺激されることが原因と考えられています。
通常は痒みを誘発するオピオイドμ(ミュー)受容体と、痒みを抑えるオピオイドκ(カッパ)受容体のバランスが保たれています。
しかし血液透析患者さんではオピオイドμ(ミュー)受容体活性化がオピオイドκ(カッパ)受容体活性化よりも優位になっているため痒みを感じてしまいます。
ナルフラフィン(レミッチ・ノピコール)はオピオイドκ(カッパ)受容体を選択的に刺激することで、オピオイドμ(ミュー)受容体刺激による痒みに拮抗し、痒みを抑えます。
オピオイドμ(ミュー)受容体には直接作用しないことから麻薬には該当せず、精神・身体依存性はありません。
ナルフラフィン(レミッチ・ノピコール)は主にCYP3A4で代謝されます。
そのためCYP3A4を阻害する薬剤と併用注意となっています。
併用注意となっている薬剤は下記のとおりです。
レミッチのインタビューフォームによると血液透析患者での主な副作用は国内臨床試験609例中、
不眠96例(15.8%)便秘29例(4.8%)眠気19例(3.1%)プロラクチン上昇19例(3.1%)となっています。
特に不眠が高い確率で報告されています。
レミッチ・ノピコールは血液透析で除去されるため、血液透析と十分な時間をあけて投与することとされています。
レミッチの販売メーカーである鳥居薬品のホームページによると、レミッチを服用後から血液透析まで、8時間以上間隔をあければ血中濃度に影響はないとされています。
レミッチカプセル
ノピコールカプセル
→インタビューフォームによると吸湿性があるため一包化は避けて、服用時にPTPから取り出すこととされています。
レミッチOD錠
→インタビューフォームには一包化不可の記載なし。
PTPから取り出した場合は湿気を避けてなるべく早く服用することとなっています。
鳥居薬品に問い合わせたところ、
下記の2つの条件で、問題ないとのこと。
温度:25℃±2
湿度:60%±5
ガラス瓶に6ヶ月保管
温度:25℃±2
湿度:70%±5
シャーレに4週間保管
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