1日2回投与で24時間効果が持続するのが、ニフェジピン徐放錠(12時間持続)です。
先発品ではアダラートL錠、ジェネリック医薬品ではニフェジピンL錠+メーカー名で販売されています。
また先発品になりますが、細粒タイプのセパミットR細粒も存在します。
ニフェジピン徐放錠(12時間持続)について、作用機序、服薬指導のポイントについてまとめてみました。
ニフェジピンは血管や心筋を収縮させるカルシウムの血管細胞内への流入を抑え、血管を広げることで血圧を低下させます。
具体的な作用点は膜電位依存性L型Ca++チャンネルを介して血管平滑筋及び心筋細胞内へ細胞外Ca++が流入するのを遮断し、全身細動脈、冠動脈を拡張し、血管抵抗の減少させ、血流量を増加させる作用があります。
アダラートLのインタビューフォームによると、健康成人に空腹時単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りです。
規格 | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
L10mg | 2.47±0.40 | 3.51±0.60 |
L20mg | 2.12±0.38 | 3.72±0.39 |
同じニフェジピン徐放錠に24時間持続タイプが存在します。
24時間持続タイプがアダラートCR錠、ジェネリック医薬品ではニフェジピンCR錠として販売されています。
TmaxとT1/2(半減期)をより長くしたのがアダラートCRとなります。
アダラートL(ニフェジピンL)は1日2回処方となりますが、アダラートCR(ニフェジピンCR)は通常1日1回処方となっています。
詳細はこちらにまとめています。
24時間持続ニフェジピンCR(アダラートCR)の作用機序・服薬指導・薬歴記載の要点
アダラートLのインタビューフォームによると、アダラートは「食事の影響を受けない」とされています。
食事の影響
健康成人男子3例に本剤20mgを食後1時間目及び空腹時(12時間絶食後)に経口投与した。食後投与では,血漿中濃度は投与後3~4時間(2.89±0.22hr)で最高レベル(72.8±7.5ng/mL)に達した。空腹時投与の場合は投与後2~3時間(2.35±0.29時間)で最高血漿中濃度 (57.1±6.2ng/mL)に達し,摂食による影響はほとんど認められなかった。引用元 アダラートLインタビューフォーム
「食事摂らない時もあるけど飲んで大丈夫?」
薬局でも相談を受けることがあるかと思いますが食事に関係なく服用して問題ないことをお伝えしましょう。
また飲み忘れた場合ですが、主治医からの指示がなければ基本的には「気付いた時に服用すること」となっています。
ただし、次の服用まで時間が短い場合は避けて、2回分を同時に服用することは避けるようになっています。
主にチトクロームP4503A4(CYP3A4)により代謝。
ニフェジピンL(アダラートL)と併用禁忌の薬剤はありません。
グレープフルーツの果実に多く含まれるフラノクマリン類が、小腸上皮細胞のCYP3A4を不可逆的に阻害するためCa拮抗薬の血液中への吸収が上昇することが報告されています。
本来ならCa拮抗薬が小腸から血液中に吸収される過程で、消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4によって代謝・分解され、代謝・分解されない一部が血液中に吸収されています。
グレープフルーツによって消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4が不可逆的に阻害されると、消化管でのCa拮抗薬の代謝が阻害され血液中に吸収される量が上昇してしまうのです。
ニフェジピンを服用中にグレープフルーツを摂取すると、ニフェジピンの血中濃度が上昇するため添付文書上では「併用注意」「同時摂取は避けること」となっています。
大日本住友製薬の資料によると、グレープフルーツとニフェジピンを併用した時のAUCの上昇率は108-203%、Cmaxの上昇率は104-194%となっています。
グレープフルーツと併用することで最大血中濃度が2倍近くになることがありますので注意が必要です。
レモンやみかん(オレンジ)はCYP3A4を阻害するフラノクマリンが入っていないため、ニフェジピンとの併用は問題ないとされています。
ザボンやボンタンにはCYP3A4の阻害作用が報告されていますので、ニフェジピンとの併用は避けるようにしましょう。
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