高血圧症や慢性心不全治療に処方される選択的アルドステロン拮抗薬がエプレレノン(商品名:セララ)です。
選択的アルドステロン拮抗薬はSelective Aldosterone Blockerの頭文字をとってSABとも呼ばれます。
エプレレノンについて作用機序や特徴、薬局での服薬指導の注意点についてまとめました。
エプレレノン(セララ)はアルドステロン受容体の選択的・競合拮抗薬として、アルドステロンの働きを抑える作用があります。
アルドステロンにどのような作用があるのか簡単に説明します。
アルドステロンが鉱質コルチコイド受容体(アルドステロン受容体)に結合すると、腎臓の遠位尿細管でナトリウムや水の再吸収が促進され、体液量が増え血圧上昇、左室リモデリング、左室肥大、心血管の損傷が起こります。
エプレレノン(セララ)はアルドステロン受容体へ選択的に結合し、アルドステロンの作用を阻害することで降圧作用や抗心不全作用を示します。
アルドステロン受容体を阻害する利尿薬にスピロノラクトン(商品名:アルダクトン)がありますが、スピロノラクトンは受容体選択性がなくプロゲステロン受容体やアンドロゲン受容体にも作用してしまうため女性化乳房や、性欲減退、乳房腫脹などの副作用が報告されています。
エプレレノン(セララ)はアルドステロン受容体に選択的に結合するため、スピロノラクトンで問題となる有害事象を軽減できる特長があります。
エプレレノン(セララ)は主にCYP3A4で代謝されるため、CYP3A4を強く阻害する薬剤と併用禁忌となっています。
またエプレレノン(セララ)は血清カリウムを上昇させるため、K値を上昇させる薬剤とも禁忌となっています。
エプレレノン(セララ)は「高血圧症」と「慢性心不全」の適応があるのですが、適応によって「併用禁忌薬」が変わってきます。
一般名(商品名) | 理由 |
---|---|
共通 K保持性利尿薬 スピロノラクトン(アルダクトンA) トリアムテレン(トリテレン) カンレノ酸カリウム(ソルダクトン) |
K貯留作用増強のため |
共通 イトラコナゾール(イトリゾール) リトナビル(ノービア) ネルフィナビル(ビラセプト) |
CYP3A4阻害のため |
高血圧症のみ カリウム製剤 塩化カリウム(塩化カリウム、スローケー) グルコン酸カリウム(グルコンサンK) アスパラギン酸カリウム(アスパラカリウム、アスパラ) ヨウ化カリウム(ヨウ化カリウム) 酢酸カリウム(酢酸カリウム) |
K貯留作用増強のため |
セララの添付文書によると、グレープフルーツを摂取後にエプレレノン100mgを服用した場合、AUC0-∞及びCmaxはそれぞれ1.2倍及び1.3倍増加した報告があります。
併用注意にはなっていませんが、極力グレープフルーツは避ける方が無難かと考えられます。
クラリスロマイシン(クラリス)にはCYP3A4阻害作用があることから、エプレレノン(セララ)と「併用注意」となっています。
またクラリスロマイシン(クラリス)を併用時はエプレレノン(セララ)は1日25mgの制限がありますので注意しなければいけません。
同様にエプレレノン(セララ)が1日25mg制限となる併用薬は下記の通りです。
エプレレノン(セララ)が処方される患者さんに服薬指導のポイントをピックアップします。
降圧作用によるめまい、ふらつきが現れる可能性があるため車の運転に注意
高カリウム血症は初期の自覚症状は無症状ですが、血清Kが上昇すると下記のような症状が現れます。
このような症状があれば主治医に相談するように指導しましょう。
血清カリウム値の基準 | |
正常値 | 3.5〜5mEq/L |
軽度上昇 | 5〜5.5mEq/L |
中等度上昇 | 5.5〜6mEq/L |
重度上昇 | 6mEq/L以上 |
軽度上昇では無症状であることが多いため、定期的な血液検査が必要になります。
カリウムを多く含む食品の過剰摂取を避けるよう指導しましょう。
カリウムを多く含む食品例
野菜は生でなく、ゆでることでカリウムを減らすことができます。
また水分制限がない方には水分を摂取することも指導しましょう。
参照 セララを服用される患者さんへ(ファイザー配布物)
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