スルホニル尿素(SU)類一覧・作用機序・服薬指導の確認事項

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

血糖値の上昇に関わらずインスリンの分泌を促す経口血糖降下薬がスルホニル尿素(SU)類の薬剤です。

SUはスルホニル尿素(Sulfonyl Urea)の頭文字をとったものです。

SU類の一覧、作用機序、調剤時の注意点についてまとめました。

スルホニル尿素(SU)類一覧

世代 一般名
商品名
服用回数
1日最大量
半減期
第一 アセトヘキサミド
ジメリン
食前or食後
1日1〜2回
朝or朝・夕
MAX1000mg/日
3.17hr
250mg単回投与
DM患者
第二 グリクラジド
グリミクロン
食前or食後
1日1〜2回
朝or朝・夕
MAX160mg/日
12.3hr
40mg単回投与
DM患者
第二 グリベンクラミド
オイグルコン
ダオニール
食前or食後
1日1〜2回
朝or朝・夕
MAX10mg/日
2.7hr
2.5mg2W投与後
DM患者
第三 グリメピリド
アマリール
食前or食後
1日1〜2回
朝or朝・夕
MAX6mg/日 
1.47hr
1mg単回投与
健康成人男性 

半減期参照資料:各インタビューフォーム

スルホニル尿素(SU)類作用機序 

SU類は膵臓ランゲルハンス島β細胞を刺激し、インスリン分泌を促進させることで血糖値を低下させます。

通常は食事によって血糖値が上昇するとインスリンが分泌され血糖値を下げ一定に保つように働きかけます。

2型糖尿病ではインスリンの分泌量が少なる「インスリン分泌不全」、インスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」が原因となります。

インスリンの主な働き

  • 血液中のブドウ糖を全身の臓器細胞にエネルギーとして取り込ませる
  • 肝臓、筋肉でブドウ糖からエネルギーを貯蔵するグリコーゲンの合成を促進
  • グリコーゲンの分解を抑制

SU類は血糖非依存的にインスリン分泌を促す

SU類は血糖値の上昇とは関係なく膵臓を刺激しインスリンを分泌を促します。
そのため膵臓のインスリンの分泌機能が残っていなければ効果を発揮しません。

また血糖非依存的にインスリンを分泌促進させることから単剤で低血糖が起こりやすいのも作用機序からイメージができるかと思います。

速効型インスリン分泌促進薬とSU類の併用は査定の対象に

速効型インスリン分泌促進薬であるグリニド系の薬剤はSU類と作用点が同じであることから、併用すると査定される可能性があります。

そのためグリニド系の薬剤とSU剤が併用されている場合は疑義照会が必要です。

グリニド系薬剤一覧

  • ナテグリニド(商品名:ファスティック スターシス)
  • ミチグリニドカルシウム水和物(商品名:グルファスト)
  • レパグリニド(商品名:シュアポスト)

 

低血糖時の対処方法

SU類は単剤でも低血糖を起こす可能性があるので、低血糖の対処方法は必ず伝える必要があります。

飲食が可能な場合:ブドウ糖(5~15g)又は10~30gの砂糖の入った吸収の良いジュース、キャンディなどを摂取
α-GIを併用時は砂糖でなくブドウ糖を!

意識障害がある場合:ブドウ糖液(50% 20mL)を静注し、必要に応じて5%ブドウ糖液点滴により血糖値の維持を図る

SU類処方時の服薬指導での確認事項(まとめ)

 

  • 作用機序の説明:膵臓に作用してインスリン分泌を促進し血糖値を下げる
  • SU類は単独でも低血糖を起こす可能性がある
  • 低血糖の症状を伝える
    (ふらつき・強い空腹感・発汗・手足の震え・動悸)
  • 低血糖時の対処方法を伝える
    (ブドウ糖5〜10g or 砂糖10〜30g摂取 αGI併用時はブドウ糖摂取)
  • 低血糖が起こりやすい時を伝える
    (シックデイ・激しい運動・過度の飲酒)

 

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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