食後過血糖上昇を抑えるのがαグルコシダーゼ阻害薬(αGI)です。
2016年時点で日本国内ではアカルボース(商品名:グルコバイ)、ボグリボース(商品名:ベイスン)、ミグリトール(商品名:セイブル)の3成分が製品化されています。
それぞれの作用機序の比較、下痢や腹部膨満感の副作用について違いをまとめてみました。
アカルボース(商品名:グルコバイ)、ボグリボース(商品名:ベイスン)、ミグリトール(商品名:セイブル)はどれもαグルコシダーゼ阻害剤(αGI)と呼ばれる薬剤です。
それぞれどのように作用するのか?
作用(阻害)するポイントを図で解説したいと思います。
αGIの中でアカルボース(グルコバイ)に特有の作用に膵液中・唾液中のαアミラーゼ阻害作用があります。
そのためアカルボースのみ、タフマックなどジアスターゼ(アミラーゼ)の入った薬剤と併用注意となっています。
ミグリトール(商品名:セイブル)にはラクトースをグルコースに分解するラクターゼ、トレハロースをグルコースに分解するトレハラーゼを阻害する作用があります。
セイブルのインタビューフォームによると下痢の発生頻度が18.3%と、アカルボース(商品名:グルコバイ)の0.1%~5%未満、ボグリボース(商品名:ベイスン)の4.0%(食後過血糖改善使用時)に比べて高い頻度で報告されています。
総症例1030例中、副作用が報告されたのは519例(50.4%)であった。主な症状は鼓腸197例 (19.1%)、下痢188例(18.3%)、腹部膨満153例(14.9%)、低血糖80例(7.8%)であった。 [セイブル錠効能追加時]
引用元 セイブルインタビューフォーム
ミグリトール(商品名:セイブル)にはラクトース(乳糖)をグルコースに分解するラクターゼを阻害することから乳糖が消化されず下痢の発生確率も上昇すると考えられます。
下痢を少しでも軽減するためにも乳製品の過度な摂取は避けるように指導する必要があります。
αグルコシダーゼ阻害薬を服用すると、消化されなかった炭水化物が大腸で発酵されることで二酸化炭素や水素などのガスを発生させます。
そのためお腹が張ったり、おならの回数が増える副作用が報告されています。
特にアカルボースはαアミラーゼを阻害することから、消化されない糖質が増えることで、放屁増加や腹部膨満の副作用が多い傾向にあります。
またミグリトールもラクトースやトレハロースの消化を抑えることからも、消化されない糖質によって鼓腸(ガスが腸にたまるが高い確率で報告されています。
ボグリボースが3つのαGIの中では、放屁増加や腹部膨満感の副作用が少ない傾向にあります。
以下にインタビューフォームから副作用の割合を抜粋しました。
ミグリトール(セイブル)
総症例1030例中、副作用が報告されたのは519例(50.4%)であった。主な症状は鼓腸197例(19.1%)下痢188例(18.3%)腹部膨満153例(14.9%)低血糖80例(7.8%)であった。[セイブル錠効能追加時]引用元 セイブルインタビューフォーム
アカルボース(グルコバイ)
承認時及び使用成績調査での調査症例4,543例中1,244例(27.38%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められ,主な副作用は放屁増加717件(15.78%)腹部膨満・鼓腸603件(13.27%)ALT(GPT)上昇89件(1.96%)等であった(再審査終了時)引用元 グルコバイインタビューフォーム
ボグリボース(ベイスン)
糖尿病の食後過血糖の改善の場合
承認時までの試験では1日0.6mg又は0.9mgを投与した965例中154例(16.0%)に、製造販売後の使用成績調査(ベイスン錠再審査終了時点)では4,446例中460例(10.3%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は下痢(4.0%)放屁増加(4.0%)腹部膨満(3.5%)等であった。引用元 ベイスンインタビューフォーム
芋類など炭水化物を多く含む食材は特に服用初期は控えること、食事の際はゆっくりよく噛むことを指導しましょう。
腹部膨満感や放屁増加は薬が効いている証拠でもありますが、耐えられない場合や、腹痛が続く場合は我慢せず相談するようにお伝えしましょう。
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