アカルボース(グルコバイ)の作用機序・特徴・おならの回数が増える時の対応【ハイリスク薬】

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

食後の血糖値の上昇を抑えるαグルコシダーゼ阻害薬にアカルボース(商品名:グルコバイ)があります。

アカルボースについて作用機序、服薬指導のポイントについてまとめてみました。

作用機序・作用部位

アカルボース(商品名:グルコバイ)は小腸粘膜微絨毛膜に存在するグルコアミラーゼ、スクラーゼ、マルターゼなどのα-グルコシダーゼ(二糖類分解酵素)活性を阻害することで、でんぷんやスクロース、マルトースからグルコースへの分解を抑えます。

唾液・膵液のαアミラーゼ阻害作用もあり

他のαGI(ボグリボースやミグリトール)にはないアカルボース(グルコバイ)特有の作用に唾液・膵液中のαアミラーゼ阻害作用があります。

ミグリトール(セイブル)・ボグリボース(ベイスン)との違い・比較

他のαグルコシダーゼ阻害薬であるミグリトール(商品名:セイブル)やボグリボース(商品名:ベイスン)との作用点の違いを図にしています。

アカルボースにはラクトースの分解阻害作用はないため、下痢の副作用がミグリトール(商品名:セイブル)に比べて少ないのが特徴です。

αGI作用点

 

用法・用量

アカルボース(グルコバイ)の用法・用量は下記の通りで「食直前」に服用することなっています。

アカルボースとして,成人では通常1回100mgを1日3回食直前に経口投与する。ただし1回50mgより投与を開始し,忍容性を確認したうえ1回100mgへ増量することもできる。なお,年齢,症状に応じ適宜増減する.

食後の血糖値の上昇時により効果を発揮させるために食前でなく食直前となっています。

腹部膨満感・ガス・おならの回数が増える副作用が多い

アカルボース(グルコバイ)の最も多い副作用に「おならの回数が増える(放屁増加)」や「ガスがたまる腹部膨満感」があります。

 

承認時及び使用成績調査での調査症例4,543例中1,244例(27.38%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められ,主な副作用は放屁増加 717件(15.78%)腹部膨満・鼓腸603件(13.27%)ALT(GPT)上昇89件(1.96%)等であった(再審査終了時)

引用元 グルコバイインタビューフォーム

 

放屁増加・腹部膨満感が起こるメカニズム

アカルボース(グルコバイ)は糖質の分解を阻害するのですが、消化吸収が遅れた炭水化物が大腸の腸内細菌による発酵を受けて水素・二酸化炭素などのガスが発生することで起こります。

対処方法

特に服用初期は芋類など炭水化物を多く含む食材の摂取は避けること、また食事はゆっくりよく噛んで服用することで軽減するとされています。

おならの回数が増えたり、お腹が張るのは薬が効いている証拠ですが、時間の経過とともに良くならない場合や、腹痛が続く場合は、相談するようにお伝えしましょう。

低血糖の副作用・症状・対応を指導

・低血糖の症状の具体例を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取・砂糖はダメ)
 ・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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