糖尿病の合併症の一つにしびれや痛みといった糖尿病性末梢神経障害があります。
この糖尿病性末梢神経障害に適応のある薬剤がアルドース還元酵素(AR)阻害薬のエパルレスタット(商品名:キネダック)です。
エパルレスタットの作用機序、服用方法、特徴についてまとめてみました。
糖尿病で高血糖が続くと、グルコースをソルビトールに変換するアルドース還元酵素(AR)が活性化し、細胞内のソルビトールの生成量が増大します。
ソルビトールが細胞内に蓄積する結果、細胞内浸透圧上昇や浮腫が起こり、細胞機能が障害されると考えられています。
糖尿病神経障害ではアルドース還元酵素(AR)の活性化が重要な役割を担っていると実験的に示されたことから、小野薬品工業がアルドー ス還元酵素(AR)阻害剤の開発を進めてエパルレスタット(商品名:キネダック)製品化されました。
エパルレスタットは赤血球や血管壁や神経細胞でグルコースをソルビトールに変換するアルドース還元酵素を阻害することで、ソルビトールの蓄積を抑えます。
また運動神経伝達速度を改善する作用もあるとされています。
エパルレスタット(キネダック)の用法・用量は下記の通りで「食前投与」なっています。
成人にはエパルレスタットとして1回50mgを1日3回毎食前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する
エパルレスタットを食前服用する理由ですが、インタビューフォームによると食後に服用するとTmaxの遅延やCmax、AUCの低下がみられることが報告されています。
食後30分に単回経口投与すると、食前投与に比べ、食後投与では最高血漿中濃度到達時間(Tmax)の遅延、最高血漿中濃度(Cmax)の約30%低下、薬物血漿中濃度推移曲線下面積 (AUC)の低下が認められる
引用元 キネダックインタビューフォーム
投与量・投与方法 | Tmax (hr) |
Cmax (ng/mL) |
AUC(0~∞) (ng・hr/mL) |
T1/2 (hr) |
50mgを食前投与 | 1.05±0.16 | 3896±1132 | 6435±1018 | 1.844±0.387 |
50mgを食後投与 | 1.45±0.44 | 2714±801 | 5893±968 | 1.791±0.460 |
またエパルレスタット(キネダック)は血糖値が高い状態でより阻害作用を発揮することからも、血糖値が最大になる時間にTmaxとなるように、食前服用となっています。
エパルレスタット(キネダック)を服用すると、尿が黄褐色又は赤色に着色することが報告されています。
エパルレスタットは黄色を呈するロダニン骨格を基本にした誘導体で、代謝された尿中排出物もロダニン骨格があり、尿を黄褐色や赤色に変色させると考えられています。
薬が尿中に出ているだけなので、患者さんには問題ないことをお伝えしましょう。
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