速攻型インスリンの分泌促進剤として位置づけられているのがナテグリニド(商品名:ファスティック・スターシス)です。
ナテグリニドの作用機序、特徴、服薬指導の要点についてまとめてみました。
ナテグリニド(ファスティック・スターシス)は速攻型インスリン分泌促進剤として、膵臓のランゲルハンス島β細胞を刺激することでインスリン分泌を促し、食後の血糖値の上昇を抑えます。
具体的な膵臓β細胞への作用機序は下記のとおりです。
ナテグリニドは膵β細胞膜上のスルホニルウレア受容体(SU受容体)に結合
↓
ATP感受性K+チャネルを閉鎖し細胞膜の脱分極を引き起こす。
↓
電位依存性L型Ca2+チャネルが開口し、細胞外からのCa2+流入により細胞内Ca2+濃度が上昇。
↓
インスリン分泌
スターシスのインタビューフォームによると、健康成人男性に空腹時単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りです。
規格 | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
60mg | 0.92±0.30 | 1.27±0.24 |
ナテグリニドの用法・用量は下記の通りです。
用法・用量
成人にはナテグリニドとして1回90mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果 不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を120mgまで増量することができる。
食直前とは食事の10分前以内に服用することとなっています。
食前(食事の30分前)に服用すると、食事をするまでに低血糖症状を起こす危険性があるため、食前処方の際は疑義照会をかけるようにしましょう。
食後に飲み忘れに気付いた場合は、次回分から正しい用量で服用するように指導しましょう。食後に服用すると、低血糖のリスクが高くなります。
主として薬物代謝酵素CYP2C9で代謝される。
ナテグリニド(ファスティック・スターシス)と併用禁忌の薬剤はありません。
ナテグリニド(ファスティック・スターシス)はスルホニル尿素剤(SU剤)と作用点が同じ膵臓β細胞であるため併用は避けることとなっています。
SU剤と併用があった場合、査定の対象となりますので、疑義照会が必要となります。
本剤は、速やかなインスリン分泌促進作用を有する。その作用点はスルホニルウレア系薬剤と同じであり、スルホニルウレア系薬剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性が確認されていないので、スルホニルウレア系薬剤とは併用しないこと
引用元 スターシス添付文書
・糖尿病薬と併用時に低血糖のリスク高くなる
(インスリン製剤併用は特に注意)
・低血糖の症状の具体例を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取 or 砂糖10〜30g を摂取 αGI併用中はブドウ糖摂取)
・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)
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