ミチグリニド（グルファスト）作用機序・特徴・飲み忘れた場合の対応【ハイリスク薬】

速効型インスリン分泌促進剤がミチグリニドカルシウム水和物（商品名：グルファスト）です。

ミチグリニドの作用機序、服薬指導の要点についてまとめてみました。

作用機序

ミチグリニドカルシウム水和物（商品名：グルファスト）は膵臓のランゲルハンス島β細胞を刺激することでインスリンを分泌し、食後の血糖値の上昇を抑えます。

ミチグリニドの膵臓ランゲルハンス島β細胞への具体的な作用機序について説明します。

ミチグリニドは，膵β細胞のATP感受性K＋チャネル（KATPチャネル）を構成するスルホニル尿素受容体（SUR1）に選択的 に結合する。
↓
ミチグリニドとSUR1との結合によりKATPチャネルが閉鎖され る。
↓
KATPチャネルの閉鎖により細胞膜が脱分極を起こす。
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細胞膜の脱分極により電位依存性Ca2＋チャネルが開口し，細胞内にCa2＋が流入する。
↓
細胞内のCa2＋濃度が上昇してインスリン分泌顆粒を刺激し， インスリンが分泌される。

Tmax・T1/2（半減期）

グルファストのインタビューフォームによると、成人健康男性に単回投与した時のTmax・T1/2は下記の通りです。

用法・用量・飲み忘れ時の対応

ミチグリニドの用法・用量は下記の通りです。

成人にはミチグリニドカルシウム水和物として1回10mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお，症状により適宜増減する。

毎食直前とはいつ？

食事の５分前以内と定義づけられています。

食事の30分前では食事を摂るまでに低血糖になってしまうため必ず食直前に服用を指導しましょう。

食後に飲み忘れた場合の対応

飲み忘れた場合は、次回から正しい用法・用量で服用。
食後に服用すると低血糖リスクが上昇するため、食後服用は避けるように指導すること。

代謝

主としてUGT1A9及び1A3によるグルクロン酸抱合化によ り代謝。

併用禁忌薬

ミチグリニド（グルファスト）と併用禁忌の薬剤はありません。

ＳＵ剤（グリメピリド・グリクラジド・グリベンクラミド）との併用は避ける

併用禁忌ではありませんが、グルファストの添付文書の基本的な注意ではSU剤と作用点が同じで膵臓β細胞であるため併用は避けることとされています。

査定の対象となりますので、SU剤と併用があった場合は疑義照会が必要となります。

本剤は，速やかなインスリン分泌促進作用を有する。その作用点はスルホニル尿素系製剤と同じであり，スルホニル尿素系製剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性が確認されていないの で，スルホニル尿素系製剤とは併用しないこと。

引用元　グルファストインタビューフォーム

低血糖の副作用症状・対応を指導

・糖尿病薬と併用時に低血糖のリスク高くなる
（インスリン製剤併用は特に注意）
・低血糖の症状の具体例を伝える。
（あくびが増える・動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など）
・低血糖時の対処方法を伝える。
（ブドウ糖5～15ｇ摂取　or 砂糖10〜30g を摂取　αGI併用中はブドウ糖摂取）
・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
（他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時）