レパグリニド(シュアポスト)の作用機序・服薬指導の要点(ハイリスク薬)

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

速効型インスリン分泌促進剤として処方される薬剤にレパグリニド(商品名:シュアポスト)があります。

レパグリニド(シュアポスト)の作用機序、服薬指導のポイントついてまとめてみました。

作用機序

レパグリニド(商品名:シュアポスト)は膵臓ランゲルハンス島に作用してインスリンの分泌を促し、食後の高血糖を抑える働きがあります。

ランゲルハンス島にどのように働きかけるのか、より具体的な作用機序を説明します。

レパグリニドは膵臓のβ細胞上にあるスルホニルウレア受容体(SUR)1に結合し、ATP 感受性カリウムチャネル(KATP チャネル)を閉鎖することにより、細胞膜の脱分極を起こし、電位依存性カルシウムチャネルを開口し、細胞内 Ca2+濃度を上昇させることによってインスリン分泌を促進します。

同じ作用機序の薬剤に、ナテグリニド(商品名:ファスティックスターシス)やミチグリニドカルシウム水和物(商品名:グルファスト)があります。

Tmax・T1/2(半減期)

シュアポストのインタビューフォームによると、健康成人男性へ食直前に単回経口投与した時のTmaxとT1/2は下記の通りとなります。

規格 Tmax(min) T1/2(min)
0.25mg  62.5±87.2  46.4±12.6 
0.5mg  27.5± 6.1  45.4± 8.3 
1mg  25.0± 7.7  66.5±17.4 

 

服用方法・飲み方・食直前っていつ?

 

レパグリニド(シュアポスト)の用法・用量は下記の通りとなっています。

 

用法・用量

通常、成人にはレパグリニドとして1回0.25mgより開始し、1日3回毎食直前に経口投与する。維持用量は通常1回0.25~0.5mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1回量を1mgまで増量することができる。

 

毎食直前は食事の何分前?

レパグリニド(シュアポスト)は食事の10分前以内に服用することとなっています。

レパグリニド(シュアポスト)はTmaxが30分弱であることから食事の30分に服用すると食事の前に低血糖になる可能性があるため、必ず食事の直前に服用しなければいけません。

代謝

主として薬物代謝酵素CYP2C8及び一部CYP3A4で代謝される。

併用禁忌薬

レパグリニド(シュアポスト)の併用禁忌の薬剤はありません。

SU剤(グリメピリド・グリクラジド)は併用避ける

レパグリニド(シュアポスト)には併用禁忌の薬剤はありませんが、SU剤(グリメピリド・グリベンクラミド・グリクラジド)とは作用点が同じ膵臓ランゲルハンス島β細胞のため併用はしないこととされています。

SU剤との併用があった場合は査定の対象となる可能性がありますので、疑義照会が必要となります。

本剤は速やかなインスリン分泌促進作用を有する。その作用点はスルホニルウレア剤と同じであり、スルホニルウレア剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性が確立されていないので、スルホニルウレア剤と併用しないこと。

引用元 シュアポスト添付文書

 

低血糖の副作用

・糖尿病薬と併用時に低血糖のリスク高くなる
(インスリン製剤併用は特に注意)
・低血糖の症状の具体例を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取 or  砂糖10〜30g を摂取 αGI併用中はブドウ糖摂取)
 ・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。 
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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