イプラグリフロジンL-プロリン(スーグラ)の作用機序・特徴・薬歴記載の要点

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

尿中からグルコースを排出することで血糖値を下げるのがSGLT2阻害薬のイプラグリフロジンL-プロリン(商品名:スーグラ)です。

イプラグリフロジンL-プロリンはアステラス製薬株式 会社と寿製薬株式会社との共同研究によって日本国内で見出されました。

イプラグリフロジンL-プロリンの作用機序、特徴、服薬指導・薬歴記載のポイントをまとめてみました。

SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン)の作用機序・作用部位

SGLT2とは?

血中のグルコースは血液循環し腎臓の糸球体でろ過された後、腎近位尿細管で再吸収されます。

その再吸収の役割を担っているのがSGLT2です。

SGLT=Sodium-dependent GLucose Transporter の略語
(ナトリウム依存性グルコース共輸送体)

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イプラグリフロジンL-プロリン(スーグラ)はSGLT2を阻害

イプラグリフロジンL-プロリン(スーグラ)は腎臓の近位尿細管のSGLT2を阻害することで、グルコースの血液中への再吸収を抑えることで、グルコースを尿中から排泄し、血糖値を下げるのです。

具体的な作用機序の図はこちらにまとめました。

SGLT2阻害薬の作用機序は?近位尿細管でのSGLT1との関係

 

Tmax・T1/2(半減期)

スーグラのインタビューフォームによると2型糖尿病患者へ食前単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りとなります。

規格 Tmax(hr) T1/2(hr)
50mg 1.43±1.86 14.97±4.58

 

代謝(グルクロン酸抱合)

本剤は主として UGT2B7 によるグルクロン酸抱合代謝を受ける。

服薬指導・薬歴記載の要点(ハイリスク薬)

・腎近位尿細管のSGLT2を阻害し体内のグルコースを尿から排出。
・1日1回朝食前or朝食後に服用。
・脱水症状の予防のため、こまめに水分を摂取。
(夏場や高齢者は特に注意)
・尿路感染・性器感染(腟カンジダなど)の可能性あり。
・糖尿病薬と併用時に低血糖のリスク高くなる
(SU剤、速効型インスリン分泌促進剤、インスリン製剤併用は特に注意)
・低血糖の症状の具体例を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取 or  砂糖10〜30g を摂取 αGI併用中はブドウ糖摂取)
 ・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)
・シックデイ(発熱・下痢・嘔吐・食事が摂れない場合)は休薬が推奨(主治医の指示を優先)

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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