オマリグリプチン(マリゼブ)の作用機序・特徴・飲み忘れた場合の対応

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

1週間に1回投与するDPP4阻害薬がオマリグリプチン(商品名:マリゼブ)です。

オマリグリプチンについて作用機序、特徴、服薬指導のポイントについてまとめてみました。

作用機序

GLP-1・GIPとは?役割

食事をとると、インクレチンホルモンが分泌されます。

代表的なインクレチンホルモンにglucagon-like peptide 1(GLP-1)glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)があります。

GLP-1とGIPは、血糖値に応じて、膵臓に働きかけ、膵臓β細胞からインスリンの分泌を促したり膵臓α細胞からグルカゴンの分泌を抑えることで、血糖値の恒常性を維持する作用があります。

DPP4とは?

インクレチンホルモンであるGLP-1やGIPはジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)と呼ばれる分解酵素によって急速に分解され不活性化されてしまいます。

オマリグリプチン(マリゼブ)はDPP4を阻害する作用

オマリグリプチン(マリゼブ)はGLP-1やGIPを分解するDPP4を持続的に阻害することで、GLP-1やGIP濃度を高め、血糖コントロールを改善する作用があります。

Tmax・T1/2(半減期)

マリゼブ錠のインタビューフォームによると、健康成人男性に空腹時単回投与した時のTamxとT1/2は下記の通りになります。

規格 Tmax(hr) T1/2(hr)
25mg 1.0 38.89

 

1週間に1回で服用する理由は半減期が38時間と長いためです。

代謝・排泄

主に腎臓から未変化体として排泄。

飲み忘れた場合の対応

マリゼブ錠の添付文書によると飲み忘れ時は「気づいた時に服用させること」となっています。

服用を忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用し、その後はあらかじめ定められた曜日に服用すること。ただし、同日中に2回分を服用しないこと。

引用元 マリゼブ錠インタビューフォーム

しかし、飲み忘れに気づいた時点が次回服用日の場合は、2回分を同時に服用せず、1回分だけ服用することとなっています。

服薬指導・薬歴記載の要点(ハイリスク薬)

・1週間に1回で服用OK。
・食事やタイミングの縛りはなく、曜日を決めて服用。
・飲み忘れ時の対応を指導(上記参照)
・単独処方では低血糖のリスク低いが、糖尿病薬と併用すると低血糖の可能性があがる。
(特にSU剤とインスリン製剤)
・低血糖の症状の具体例を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取 or  砂糖10〜30g を摂取 αGI併用中はブドウ糖摂取)
 ・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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