トレラグリプチン(ザファティック)作用機序・特徴・飲み忘れた時の対応

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

週1回で効果があるDPP4阻害薬がトレラグリプチンコハク酸塩(商品名:ザファテック)です。

トレラグリプチンは武田カリフォルニア株式会社が創製した世界初の週1回タイプのDPP4阻害薬です。

トレラグリプチンの作用機序、特徴、飲み忘れた場合の対応についてまとめてみました。

作用機序・作用部位

 

食事を摂るとGLP-1が分泌

食事を摂取すると消化管からインクレチンホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP- 1)が分泌されます。

GLP-1は血糖値に応じて、膵臓β細胞からインスリンの分泌を促したり、膵臓α細胞からグルカゴンの分泌を抑制することで血糖値の恒常性を維持しています。

GLP-1はDPP4で分解・不活性化

しかし、インクレチンホルモンであるGLP-1は体内に存在する分解酵素ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によって分解され不活性化されてしまいます。

トレラグリプチン(ザファティック)はDPP4を強力に阻害

トレラグリプチン(ザファティック)はGLP-1を分解するDPP4を強力にかつ持続的に阻害することで、インクレチン濃度を高め血糖値をコントロールする作用があります。

 

Tmax・T1/2(半減期)

ザファティックのインタビューフォームによると健康成人に朝食開始30分前に単回投与した場合のTmax・T1/2は下記の通りです。

半減期は時間が経つにつれて長くなるのが特徴です。

規格 Tmax(hr) T1/2(0〜72) T1/2(0〜168)
50mg 1.5  20.0  53.9 
100mg  1.3  18.5  54.3

 

代謝・排泄

主に腎臓から尿中に未変化体として排泄されます。

併用禁忌薬

トレラグリプチン(ザファティック)に併用禁忌薬はありません。

飲み忘れた場合の対応

販売元の武田薬品の資料によると、飲み忘れた場合の対応は下記の通りです。
※主治医から指示がある時は指示に従うように指導してください。

次回服用予定前に飲み忘れに気づいた場合

気づいた時に服用し、次回も決められた曜日に服用。

次回予定日に気づいた場合

次回予定日の分だけ服用。(2錠は一度に飲まないこと)

次回予定日より後に気づいた場合

気づいた時に服用し、次回から正しい曜日で服用

服薬指導・薬歴記載の要点(ハイリスク薬)

・1週間に1回で効果あり
・服用時間の縛りは無し(1週間等間隔)
・飲み忘れ時の対処方法を伝える(上記参照)
・単独処方では低血糖のリスク低いが、糖尿病薬と併用すると低血糖の可能性があがる。
(特にSU剤とインスリン製剤)
・低血糖の症状を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取or  砂糖10〜30g を摂取 αGI併用中はブドウ糖摂取)
 ・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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